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見出しスポーツを巡る金正恩第1書記の思惑 (2013年10月1日)

 


サッカーを観戦する金正恩第1書記



改修を終えた平壌体育館





国際競技のメダリストと談話する金正恩第1書記





平壌に着いたデニス・ロッドマン氏
 北朝鮮から発信される情報に変化がある。緊張を高めるような内容が影をひそめた。最近の傾向として、スポーツ関連の情報・報道が目を引く。中でも、9月12日から平壌で開催されていたアジア重量挙げ大会で、韓国国旗が掲揚され韓国の国歌が流された、というニュースに、南北関係の対立の歴史を知る人々は驚いたに違いない。
 北朝鮮のスポーツを巡る、環境変化は金正恩第1書記の指導と無縁ではないだろう。金正恩第1書記は今年の9月までに延べ9回、スポーツ試合を観戦したと報道されている。毎月1回ということだ。国の最高指導者が「月1」のペースでスポーツ観戦するのは珍しい。
 さらに、金正恩第1書記は観戦だけでなく、頻繁に競技施設の現地視察を繰り返し、改修・近代化を進めている。平壌体育館や平壌市内の「青春通り」に集中している各競技施設は今、改修作業が進められている。また、海水浴場やスキー場、乗馬クラブなどの建設にも着手し、金正恩第1書記は何度も現地指導をしているようだ。

 北朝鮮とスポーツで最大の関心を集めたのは、米プロバスケットボール(NBA)の元スター選手、
デニス・ロッドマン氏の再訪朝だ。ロッドマン氏自身は、訪朝目的を「米朝のスポーツ交流」としている。しかし、国際社会は米朝関係改善の前兆を期待した。日朝間でも、政府間協議は約1年近く中断しているが、民間交流はわずかに保たれ、昨年12月に日本体育大学の代表団が訪朝し、サッカーなどのスポーツ交流を行っている。
 国際スポーツ交流は、単にスポーツだけの交流に留まらないところに難しさと期待が混在する。米中の緊張緩和・国交正常化への一歩となった、1970年代の「ピンポン外交」が記憶に新しいところだ。

 北朝鮮のスポーツに関する変化をもう一つ。かつては国際試合の敗北など「スポーツでの屈辱」は、たとえ惜敗であっても報道しないのが通例だった。しかし、最近は違う。国内サッカーの不正行為の摘発を公表したのだ。北朝鮮のメディアは当時、金正恩第1書記が観戦する試合はPK戦で決着がついたと報道した。
 しかし、その後「勝利チームは不正な選手を出場させた」として、選手と所属チームを厳格に処罰すると発表した。スポーツと関連した不正の摘発について報道するのは極めて異例と言える。

 北朝鮮のスポーツ指導組織・国家体育指導委員会のメンバーは、その全員が国政に影響力を持つと言われている。各競技種目の後援団体は全て国家機関である。北朝鮮がスポーツ振興を国家的に進めていることは間違いない。
 金正恩第1書記は、国内に向けてはスポーツを通じて国民の団結力を高め、国際社会に対しては、
北朝鮮が公正な社会に変わっているということをアピールしたいようだ。




(Asia Watch Network 小堀新之助)













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