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見出し古典恋愛物語とサーカス   (2013年5 月10 日)

 





 朝鮮半島の緊張は、開城工業団地の閉鎖問題にも波及した。米韓合同演習は終わったものの、北は「一号戦闘態勢」を解いてはいない。その一方で、こんな話題もある。いま北朝鮮では「春香伝(チュニャンヂョン)」のサーカス劇が市民の間で人気を集めているというのだ。

 「春香伝」は朝鮮王朝時代の説話で、身分の低い妓生の娘・春香(チュンヒャン)と両班の息子・李夢竜(リ・モンリョン)の封建的身分制度を越えた恋物語。朝鮮王朝時代の代表的な作品で朝鮮半島の北と南で映画やオペラにリメークされているが、サーカス公演の中で演じられるのはもちろん初めてという。朝鮮半島を代表する古典恋愛「春香伝」がどのようにサーカスに取り込まれるのか、好奇心に溢れた観客で、劇場は連日満員だ。
 オペラや映画なら、それとなく「春香伝」のシーンが眼に浮かぶ。しかし、サーカス公演となるとどのような情景になるのか、想像がつかない。平壌から届く話では、登場人物の感情を空・氷・水の中で表現しているようだ。
 恋に落ちた主人公が空中を飛びまわり、氷上を滑走し、シンクロナイズドスイミングまで披露する。北朝鮮のサーカは世界でも高いレベルを誇っている。特に「飛び交う娘たち」の空中曲芸は世界最高技能と評価されている。この高度なサーカス曲技が総動員されたのがこの公演のようだ。

 北朝鮮という国のシステムを考えると、一人の演出家の試みだけとは思われない。国の最高機関も認めた新しいジャンルのサーカス劇だろう。機会があれば動画(ビデオ)でも紹介したい。

 日・米・韓はミサイル発射への警戒心を解けない。一方、平壌では市民が古典恋愛のサーカス公演に魅了され、喝采の拍手は鳴り止まないという。「朝鮮半島は開戦前夜」との報道とは対照的である。北朝鮮は何を求めているのか。その意図は何であるのか。やはり首脳部以外には、分からない謎に包まれた国である。




(Asia Watch Network 村上知実)















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