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見出し祝日と経済制裁圧力      (2015年5月29日)
日)














 5月1日は、ヨーロッパでは夏の訪れを祝う日に当たる。日本なら「新緑」
「立夏」などの季語がぴったりの日だろう。北朝鮮は冬が長い。この時期ならまだ「春粧」「春陽」がふさわしいが、遅い春の到来を告げる、労働者の日の祝日である。

 暖かな日差しが差し込んだ平壌の街は、朝早くから市民の活気に包まれた。民族衣装・チマ・チョゴリを着飾る娘さんや春らしく衣替えした市民たちが向かう場所は、平壌で最高の絶勝の地、牡丹峰だ。皆、ピクニックのご馳走、おやつを抱えている。
 牡丹峰にある平地はあっという間に市民の姿に覆われた。平壌から送られてきた写真をみると、上野公園の桜の花見のようである。人、人、人の波だ。家族連れ、職場の仲間が集い、持ち寄った食べ物が披露される。「花より団子」の雰囲気が牡丹峰の空間を支配する。
 早春の香りが漂い、食欲を刺激する美食の香りが次第にこびりつく。

 ピクニックのご馳走を堪能すると次は余興だ。これも、日本のお花見に似ている。自慢ののどや踊りを披露する姿があちこちに見られる。あるお年寄りのグループは自作の寸劇パフォーマンスを見せて周辺の拍手喝采を受けていた。

 牡丹峰の乙密台は外国人観光客にとっても定番コースである。祝日を楽しむ北朝鮮の人々をカメラに収める外国人観光客も多い。かつて、祝日を愛でる市民の姿をビデオに撮って日本で見せたところ、当局によるヤラセ・演出ではないか、
と疑われたことがある。
 日・米から絶え間ない制裁を受けている北朝鮮には、市民が祝日に公園に繰り出して遊戯に浸る余裕はない、との先入観があるからだろう。

 日本政府は、北朝鮮に対する輸出入の全面禁止などを含む独自経済制裁の2年間延長を期限前に早々と決めた。「行動対行動」の原則が有効で圧力を強めることが、日朝交渉に有効と判断したようだ。
 しかし、メーデー祝日を楽しむ北朝鮮市民の姿から、経済制裁の効果は感じられない。北朝鮮の人々が「圧力」に屈するとは思えない。禍根を残すだけの結果に終わりそうな気がする。





(Asia Watch Network 村上知実)












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