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見出し判決の意味するもの      (2015年6月30日)
日)







無期労働教化刑の判決を受けた金国紀被告


無期労働教化刑の判決を受けた崔春吉被告
 6月26日、北朝鮮のメディアは、スパイ活動の容疑で逮捕した韓国人2人が、北朝鮮の最高裁判所で無期労働教化刑の判決を受けたと報じた。
 2人の韓国人は金国紀(キム・グクキ)被告と崔春吉(チェ・チュンギル)被告で、
北朝鮮は3月26日に、韓国の「国家情報院」から指示を受けたスパイとして逮捕したことを公表している。

 逮捕から3ヶ月、2人の裁判が北朝鮮の最高裁判所で行われ、その様子が写真などで公開されている。写真には刑事訴訟法に従った「参審員(陪審員に類似したもの)」も写っている。写真公表の意味は、この裁判が司法制度に準じて行われた、と強調している点にあるだろう。

 2人の韓国人は逮捕後の記者会見で、金正恩第一書記の関連資料や国家機密を収集、韓国国情院に報告したたほか、「謀略宣伝」を行ったことを認めているが、裁判審理でもこれを否定しなかった。
 北朝鮮の刑法では「国家転覆陰謀罪」は死刑か無期労働教化刑となっている。検事は被告らの行為は死刑に値すると断罪したが、弁護士は同一民族であることを重視し減刑を主張、判決では無期労働教化刑が言い渡された。
 死刑を免れた2人は嗚咽を漏らしたと、北朝鮮のメディアは伝えている。

 一方、韓国政府はこの裁判結果を受け入れることができないとしている。そのうえで、今回判決を受けた2人の他、いまも北朝鮮に拘束されている宣教師のキム・ジョンウク氏、韓国系の米国在住大学生チュ・ウォンムン氏の韓国送還を要求している。

 南北関係は、さまざまな思惑がからみあい読み難い。北朝鮮は今年の方針を示した新年辞で「南北最高位級会談」について直接言及し、中断された高位級会談再開の意志を示した。
 また、この裁判の直前には不法入国した韓国人夫妻を速やかに韓国へ送還している。
 硬軟織り交ぜた戦術だ。今回の判決は、死刑回避だから「軟」か、無期労働教化刑なので「硬」か、これだけでも判断しがたい。韓国側の対応が注目される。


(Asia Watch Network 小堀 新之助)












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