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見出し準戦時態勢と国際試合       (2015年8月31日)
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朝鮮労働党中央軍事委員会非常拡大会議








第2回アリスポーツ・カップU-15国際サッカー大会



ロ・ジョンソクさん(70歳)
 軍事境界線を挟んだ南北の対立は、北朝鮮が朝鮮労働党中央軍事委員会非常拡大会議を開催し、21日に「準戦時態勢」を宣言、全軍人に対し「完全武装」を命じたことで一挙に緊張状態が高まった。
 米韓は17日から軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を実施していた。北朝鮮はこの軍事演習を「平壌侵略演習」だと強く反発していた。その矢先での南北対立の激化は、米国を巻き込んだ全面戦争、核戦争さえ危惧された。

 準戦時態勢の発令下、北朝鮮国内は重苦しい雰囲気に包まれていたに違いない。このように推測していたが、必ずしも戦争準備一色ではなかったようだ。

 全軍に準戦時態勢が発令された21日、平壌綾羅島(ルンラド)にある5・1競技場で第2回アリスポーツ・カップU-15国際サッカー大会が開催されていた。
 大会には、北朝鮮、ブラジル、ウズベキスタン、中国、フルヴァツカ(クロアチア)、韓国の6カ国、8つのクラブチームが参加した。平壌の南、170キロの軍事境界線では南北両軍がが臨戦態勢で睨み合う中での国際試合であった。
 競技場は少年たちの国際交流の和やかな空気に包まれていたようだ。北朝鮮のクラブチーム「4.25」と韓国の京畿道(キョンギド)の試合は、皮肉にも南北対戦となったが、観衆や選手は国の関係とスポーツは別との意識が浸透していたようだ。試合は真剣に戦い、試合が終われば互いの健闘を称え合い交流を深めた。

 牡丹峰区域から試合を見に来たロ・ジョンソクさん(70歳)は「今、軍事境界線一帯には危機一髪の危険極まりない情勢が生じた。その中で、サッカー競技を観戦しているとあの子供達だけは戦争の苦痛を知らずに育ってほしいと思った。おそらく北南の選手たちが一つのチームとなって世界舞台に進出すれば第一の強豪になるはずだ。血は水より濃い。今日、たとえ『4.25』の強い攻撃によって南朝鮮(韓国)は敗けたが、私ばかりでなく多くの観衆が南朝鮮(韓国)の選手たちにも熱烈な拍手を送った。」と話した。
 「4.25」のキャプテン、ギム・ボムヒョク君(15歳)は「南朝鮮(韓国)との対戦の時、一日も早く統一されて一つのチームになると我らにかなうものがないと感じた」と言う。

 韓国の選手たちは試合には負けたものの、観衆から真心込めた拍手が送られた時には選手全員が揃って礼儀正しく挨拶をした。この光景に会場に集まった市民は「朝鮮は一つ」の民族的感情が湧きあがったという。
 最前線では南北の軍隊が完全武装で銃口をつき合わせていても、サッカー競技場では南北の選手たちが「祖国統一を願い」ながら熱く手を取り合う、これが朝鮮半島の現実だ。


(AsiaWatch Network 村上 知実)














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