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見出しビール祭りと核実験               (2016年10月6日)
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壌大同江(テドンガン)ビール祝典




祝典準備委員会メンバー ロ・ハンヒョン氏





キム・ヨンナムさん











 北朝鮮は9月9日、世界中からの反発を覚悟のうえ5回目の核実験を強行した。国連安全保障理事会は非公式の緊急会合を開き、安保理決議に違反すると報道声明を発表し、日本や米国は独自の制裁強化の動きもある。
 しかし、これまでの経済制裁が効果をあげたとは言い切れない。北朝鮮の動きをみると核実験やミサイル発射の停止、放棄に向かっていないのは明白で、「核」と経済発展を同時に行う「並進路線」を進めている。
 最高指導者・金正恩労働党委員長が打出したスローガンで北朝鮮は退くことができない路線だろう。

 9月の核実験実施もこの「並進路線」が淡々と実践されていた。制裁をあざ笑うかのように、経済発展を世界に見せつけようといろいろな催しや行事を行う。その代表的なのが「平壌大同江(テドンガン)ビール祝典」だ。
 大同江ビールは2002年に生産が始まり、今や国を代表するビールである。麦の配合比率などによって7種類あり、愛飲者は嗜好に合ったものを選ぶことができる。
 ビールの祭典は核実験実施のほぼ1カ月前、ビールの名称の由来でもある平壌市内を流れる大同江に浮かぶ遊覧船の船上と船着き場で約3週間に渡って開かれた。
 8月の平壌は気温35℃近く、市民だけでなく外交人観光客も速いピッチでビールジョッキを空にしていた。
 祝典準備委員会メンバーのロ・ハンヒョン氏(人民奉仕総局勤務、56歳)に大同江ビールについて聞いた。

 問:大同江ビールの味は歴史の長いドイツのミュンヘンビールにも劣らない自信があるようだが、工場の運営は大変でしょう?
 ロ:はい。大同江ビール工場は2002年に建設され14年ですが、今や堂々たる実力を発揮するしています。平壌の松新地区にある工場敷地面積は10ヘクタール、延べ建築面積は数万平方メートルに上ります。醸造や発酵、製品包装や出荷に至るすべての生産工程は近代化されれています。大同江ビールは国内だけでなく海外の展示会や品評会などでも高く評価されました。
 ISO9001品質管理システム、HACCP食品安全管理システムの認証も得ています。工場では企業管理や経営戦略のポイントを高め人民の需要に合わせてビールの味、質を改善しています。

 問:祝典開催の動機は?
 
ロ:わが人民がもっと立派な文明を享受するようにし、また大同江ビールを幅広く紹介し、競争力を高めるために開きました。
 問:ビール祭典の内容は?
 
ロ:午後5時から夜の12時まで行われます。「大同江」号のサービス係の祝賀公演もあれば、ビール常識クイズや味覚競技もします。夜8時には船(大同江号)が大同江を遊覧しますので、客はビールと平壌市内の夜景を堪能できます。大同江ビールは1番から7番まであり、味が違います。自分に合う味を見つけ出すのも魅力でしょう。
 問:客は一日どれくらいありますか?
 
ロ:毎日1500人は来ます。国内のビール生産工場や会社に勤務する人だけでなく、外国人も200人ぐらいは来ます。女性も多いです。

 ビールを堪能する市民にも聞いた。
 
「私はビールがそれほど好きではないですが、この大同江ビールは別です。よく飲みます。大同江ビールは国の穀倉である黄海南道地方で収穫した良質の麦と両江道の高山地帯で栽培した優良品種のホップ、大同江流域の良い水から作られるので、味がまろやかです」( 朝鮮4・26アニメ撮影所に勤務する美術家のキム・ヨンナムさん)。

 北朝鮮への渡航自粛要請が出されている日本の観光客もいた。
 
「北朝鮮でこんな雰囲気を体験するとは驚きです。米国や日本をはじめ、世界が北朝鮮に制裁を加えようとする中、北朝鮮でのみ見られる光景だ。制裁なんか何の意味もないと思いす」。
 欧米の観光客は…。
 
「私はドイツのビール祭りもよく行きます。でも、朝鮮の方がもっと立派ですばらしいと思います」(ドイツからの観光客)。
 
「大同江ビールは今、ヨーロッパでも有名です。歴史は長くないですがライバルを退けて大同江ビールが普及するのを見て朝鮮人民が知恵に富む民族であることが分かりました」(駐朝キューバ大使館政治参事)。
 「厳しい制裁の最中に、こんなに多くの人々が祝典場に来てビールを飲んだり、公演を観たりしながら祝日を楽しむことに驚きました」
(米国観光客)。
 「私は初めて、大同江ビールを飲みました。ヨーロッパの有名なビールに並ぶほど良質で、香ばしいです。こんなビールを安い価格で毎月、供給するという朝鮮政府の施策に大変感心しました。信じられません」
(ノルウェー観光客)。

 今後、国連安保理では北朝鮮に対するさらなる制裁措置が強化されようとしている。
 軍事力強化と経済発展の「並進路線」の維持はどこまで続くのか。


(AsiaWatch Network 小堀新之助)














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