本文へスキップ

アジア・ウオッチ・ネットワークはアジアに幅広い取材アンテナを張ります。

アジア・ウオッチ・ネットワークAsiaWatchNetwork


見出し特別掲載 水爆実験 北朝鮮知識人の見解 / 水爆はオバマの核外交の失敗が招いた  
日)

 2016年1月6日午前10時、朝鮮民主主義人民共和国が実施した水爆実験は世界の耳目を我が国に集中させた。大きな誇りと驚嘆、深刻な惧(おそ)れと驚愕が沸き立った。そしてこれは、オバマの核外交を試験台に引きずり出したといえる。
 オバマの核外交政策は「戦略的忍耐」だ。「核兵器なき世界」を唱えてスタートを切ったオバマの核外交は、イランとの核合意とその全面的履行に入ることで任期末期を輝かしく飾るはずだった。しかし、アジア太平洋地域の要衝・朝鮮半島で水爆実験が突然実施されオバマの核外交は悪夢に陥った。
 オバマの核外交が彼の期待通りに展開しなかった要因は何か。様々な要因をあげることができるが、最も重要なのは朝鮮半島における核問題の根源・本質を見誤ったことだ。朝鮮半島の核問題とは、米国が主張するような朝鮮の核開発ではない。
米国が核の脅威・恐喝を朝鮮半島で続けていることなのだ。もし、米国の主張通りであれば、朝鮮はなぜ核を開発したのか。これに対して米国は明快な理屈を展開できていない。一方、自国に対する米国の核脅威に起因するという朝鮮の主張は、だれでも容易に納得ができる。朝鮮対米国という構図の中では、非核国の朝鮮に比べ、核保有国である米国が強圧的な地位にあるというのは明白だ。もし米国が朝鮮を圧殺しようとするなら、朝鮮が自衛のためにいかなる抑止力をも選択肢の中に入れるだろう。それが正に核抑止力の保有である。
 1950年代、原爆によって夫妻、親と息子それから兄弟姉妹が別れる涙ぐましい現実を体験し、その後も、核先制攻撃対象になって毎年、核戦争演習を目の前で目撃している朝鮮としては、原爆には原爆で水爆には水爆で立ち向かうのが自衛のための最善の方途だと思わざるを得ない。勿論、朝鮮は強硬一辺倒の政策でのみ進んだわけではない。平和的方法で自国の生存権と安全が保障されるなら、敢えて悲惨な死と破壊をもたらす戦争の道は選ばない。政治外交的な政策を打ち出す。
 たとえば昨年初に持ち出した軍事演習中止対臨時核実験中止提案と朝鮮半島における平和保障システム確立などが代表的なものだ。
 しかし、米国はそれを受け入れなかった。結局、朝鮮は米国の振舞いに疑惑を持たざるを得なかったし、核抑止力を強化する道のみが自分を守り、平和と安全が保障できるという決断を下した。そこで原爆より桁違いに威力のある水爆を作ったのだ。朝鮮の水爆実験は米国が生んだものだと言える。核拡散防止のために駆使した核外交がむしろ核を爆発させた。
 それも米国がいまだ想像もできなかった水爆である。いまや米国の核外交、オバマの「戦略的忍耐」政策が本当に必要か否かが問われる時である。                      
  哲学学会委員洪太淵教授(博士)

 オバマがホワイトハウスに「入城」した後、確固たる意志で持って朝鮮の核を防止するといった同政策は水爆の爆音と共に幕を下ろさざるを得ない羽目に陥った。核を放棄するまで朝鮮を圧迫し、対話もせずに待ち続けてきたオバマの政策を、世界は勿論、米国人もこれ以上期待していない。朝鮮半島では、待てば待つほど結果は核廃棄に向かうのではなく、より強力な核兵器の開発につながるからだ。
 朝鮮で4回にわたる核実験の中、3回がオバマの「戦略的忍耐」政策が続く時に行われたというのは意味深い。米国内保守勢力は朝鮮の水爆実験に反発を強め制裁強化を模索しているが、逆に朝鮮が頑なになり新たな水爆実験を続けるのではと杞憂しているらしい。この杞憂は事実だ。朝鮮への制裁強化は、核を廃棄させるのではなく、核抑止力をますます強化させる絶好の機会になる。核拡散防止のために趣向を凝らした政策が新しい核を生むというのは一つのブラック・ユーモアでもある。
 今、オバマの「戦略的忍耐」政策は瀬戸際に追い込まれている。朝鮮の提案を受諾し対話を行うかそれとも戦争を経るか、二者択一である。後者は核戦争、それも残酷でこれまでになかった核の悲惨さを眼にする戦争になるだろう。米国はどの道を選ぶのか。選択はポスト・オバマにゆだねられそうだ。 
 今、明らかなことはオバマの「戦略的忍耐」政策が失敗した核外交として歴史博物館に陳列されるということだ。


   
                        水爆実験成功の祝賀集会と夜会 (平壌 1月6日)