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見出し米学生「謝罪」会見とプエブロ号事件       (2016年3月15日)
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ウォームビア容疑者の記者会見(2月29日/平壌)







 昨年末、観光目的で入国し、今年1月2日、平壌国際空港で出国する際に逮捕された米バージニア大の学生オット・フレデリック・ウォームビア(21歳)が2ヶ月ぶりに記者と会見した。
 2月29日の会見でワームビア容疑者は「羊角島(ヤンガクド)国際ホテルの従業員エリアで朝鮮人民が神聖とみなし、命で持って守る政治スローガンが書かれた掲示物を盗み取るという犯罪をおこなった」と認めた。そして、頭を下げ、涙ぐんで何度も謝罪し、許してくれることを訴えた。
 会見の日は国連安全保障理事会の制裁決議案採択の前であった。米国などが対北朝鮮経済制裁採決向け国連内で活動している時期だけに北朝鮮国内では「絶対許さない」という声が強まった。

 ワームビア容疑者が北朝鮮人民の尊厳を傷つけるような行為を働いた背景には、二人の弟妹の学費援助と報酬があったことを告白した。続けて「この任務を米・友愛連合メソジスト教会から受け、CIAに関連するZ協会のけしかけと米政府の黙認のもとに犯罪をおこなった」と涙ながらに謝罪した。
 北朝鮮ではワームビア容疑者の謝罪会見を数十年前の事件になぞらえて見つめる人が多かったという。

 1968年1月23日、北朝鮮に拿捕された情報収集艦「プエブロ」号事件である。北朝鮮東岸の元山沖の洋上で情報収集任務に就いていたプエブロ号は、領海侵犯を理由に北朝鮮警備艇などから攻撃を受け、乗員1名が死亡、乗員82名が身柄を拘束された。当時拘束された米軍兵士らも概ねワームビア容疑者のような年齢に近かった。
 記者会見をTVで観た平壌市民らは「謝罪を繰り返すワームビアの姿は、今日の米軍、米国の姿を髣髴(ほうふつ)させる」と口をそろえて言う。
 結局プエブロ号事件で米国はスパイ活動を認める謝罪文書に調印し乗員は11ケ月後に解放された。しかしプエブロ号の船体は返還されず、平壌の普通江のほとりにある祖国解放戦争勝利記念館に展示、一般向けに観光公開されている。

 情報収集艦「プエブロ」号の顛末は、すなわち米国の運命だと考えがる平壌市民が多いようだ。
 ワームビア容疑者は「自分の行為の背景には米政府の黙認があった」と示唆した。米国政府も無視できないだろう。人権無視、ならずもの国家と断罪する国に対して米国政府は再び謝罪するのか、苦悩の種に違いない。


(AsiaWatch Network 村上 知実)














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