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見出し特別供覧 「金日成主席と日本」 103.零細漁民への思いやり  105.学者たちと交わした話   
日)

9103.零細漁民への思いやり

 1977年7月3日、金日成主席は日本放送協会解説委員長の緒方彰氏を団長とする日本放送協会取材団を引見し、彼らの質問に次のように答えた。
 「わたしは、あなたがたがわが国を親善訪問してくれたことをありがたく思い、あなたがたを熱烈に歓迎します。これからあなたがたの質問にお答えしましょう」。

 問:日本との貿易についての主席の率直なご意見をおうかがいしたいと思います。
 答:日本はわが国と地理的にもっとも近い国の一つです。それゆえわれわれは、朝日両国間の貿易の増進が、両国人民にひとしく有益であると思います。わが国にあるものを日本が遠くから買い求めるよりは、隣国のわが国から買うほうが、輸送費も少なくてすみ、有利でしょう。わが国にしてもやはりそう言えます。われわれに必要なものを遠いヨーロッパから買い求めるより、近い日本から買うほうが有利です。それゆえ、朝日両国間の貿易を発展させることは、両国人民の利益に合致します。
 われわれは、朝日両国人民の利益に合致するよう、両国間の貿易をさらに発展させることを望んでいます。朝日両国間の貿易をさらに発展させるためには、日本政府がわが国に対する非友好的な政策をすて、貿易において平等と互恵の原則を守ることがきわめて重要であると思います。日本政府はわが国を差別せず、われわれの求めるものをなんでも売るべきなのですが、まだそうはなっていません。
 一例をあげましょう。 何年か前、久野忠治先生が訪朝したさい、われわれは両国間の貿易を活発にしようという期待を表明しました。その後、われわれは6カ年計画を遂行するため日本に大規模の製鉄工場を注文しました。それで日本の技術者がわが国に来て協議も行い、実地調査もして帰りました。しかし、その後はなんの音沙汰もありませんでした。西側の外信によると、南朝鮮当局者の圧力により、日本がわが国に製鉄工場を輸出すれば、われわれの国力が強化され、南朝鮮への脅威が増大するという口実でそれを取り消したとのことです。日本がわが国に高炉を売らないからといって、われわれが製鉄工場を建設できないわけではありません。われわれはもちろん、日本に注文したような大きな高炉は建設できませんでしたが、1500立方メートルの高炉を建設しました。わが国に対する日本政府のこうした不正常な行動がなくなれば、朝日両国間の貿易は活発になると思います。

 問:これまで朝鮮民主主義人民共和国は、200カイリ経済水域問題についてきわめて慎重な態度をとってきたと思います。ところが、朝鮮民主主義人民共和国も今年の8月1日から200カイリ経済水域を設定することに決定したという報道に接しました。日本はこれに大きな衝撃を受けています。これまで朝鮮民主主義人民共和国の200カイリ水域内で、西日本の中小漁業者の漁船1500隻が、約6万5000トンの魚類を水揚げしています。現在、日本と朝鮮民主主義人民共和国の間には漁業協定が締結されていません。こうした状況下で、朝鮮民主主義人民共和国が宣布した200カイリ水域内での日本漁船の漁獲は、いかなる形式で認められるでしょうか。かりに、漁業協定を締結するとすれば、民間漁業協定でも認められるでしょうか。
 答:200カイリ海洋権の問題は、国際会議で多く論議されている問題です。この問題は数年前から、ラテンアメリカ諸国が先に唱えはじめました。当時は多くの大国がそれに反対しました。しかし最近では、この問題に関する国際的な決定が採択される前に、大国が先に200カイリ経済水域を宣布しています。とくにわれわれの周辺諸国がそれを宣布しています。まずアメリカが200カイリ漁労水域を宣布し、ついでソ連や日本もそうしました。こうした状況のもとで、われわれは自主の原則から国の自主権を守るため、200カイリ経済水域を設定する決定を採択せざるをえませんでした。わが国が200カイリ経済水域の設定に関する決定を採択したのは、あくまでもわが国の自主権を行使したにすぎず、客観的条件からやむをえずとった措置です。200カイリ経済水域設定に関するわが国の決定は、8月1日から効力を発します。外信によれば、日本の200カイリ漁業水域の決定は7月1日から効力を発するそうです。わが国と日本との間には国交が開設されていません。しかし、われわれは200カイリ経済水域権の問題と関連し、朝日両国が相互主義の原則を守るべきだと認めます。わが国の200カイリ経済水域内での日本漁民の漁業問題について言うならば、われわれは日本の漁民に衝撃を与えるつもりはありません。
 われわれはあくまでも日本人民、とくに日本の零細漁民に被害を与えない方向で努力する考えです。今後この問題をどういう形式で処理するかは、関係部門の幹部と協議すべきでしょう。わたしは今日、あなたがたのような立派な友人と知り合いになれたことを非常にうれしく思います。今日あなたがたと会って親善的な談話を交わしたことは、朝日両国人民の友好・団結の強化にとってきわめて有益なことになるでしょう。わたしは、あなたがたがわが国を訪問してくれたことに対し、あらためて謝意を表します。

 金日成主席の格別の関心と配慮のもとに、1977年9月5日、朝日民間漁業暫定合意書が採択された。 そうして、日本の数多くの零細漁民が長い間、朝鮮の経済水域における漁労活動による恩恵にあずかった。これを機に、日本の零細漁民はもとより、経済界をはじめ各界の広範な人民の間で金日成主席に対する感謝の念が高まった。

105.学者たちと交わした話

 1977年9月25日、金日成主席は安井郁氏を団長とする日本チュチェ思想研究学術代表団と会見した。 席上、主席は次のように述べた。
 「あなたがたはこの度、平壌で開かれたチュチェ思想に関する国際討論会に参加して多くの仕事をされました。わたしは、あなたがたが多くの仕事をされたにもかかわらず、疲れを覚えることなく元気に過ごしていることを満足に思います。高齢の団長先生の元気な姿を見てうれしいです。わたしは、団長先生が討論会で情熱的に演説するのを見て深く感動しました。先生は高齢ですが、若い人たちよりも情熱的です。わたしは、あなたがたがチュチェ思想に関する国際討論会を自分の仕事のように考え、討論会に積極的に参加したことを満足に思い、あなたがたに謝意を表します。………チュチェ思想を普及して新興独立諸国、発展途上諸国の人々を啓蒙し、目覚めさせることが重要だと言われましたが、もっともな指摘です。今後、新興独立諸国、発展途上諸国がみな自主性を堅持し、自立的民族経済を建設すれば、帝国主義はもはや力を発揮することができなくなるでしょう。なんとしても新興独立諸国、発展途上諸国が自主の道を進むよう、鼓舞激励しなければなりません。今、発展途上諸国は100余カ国にもなりますが、これらの国々が自主性を堅持し、緊密に協力すれば、帝国主義者を孤立させることができます。そうすれば、発展途上諸国は帝国主義者の搾取と略奪を受けずにすみ、彼らに依存しなくなるでしょう。
 一部の国の人たちは、本当は朝鮮を支持するが、公然と支持するわけにはいかないと言っています。それは、彼らがアメリカから食糧援助を受けているからです。彼らは、自分たちがアメリカに反対するスローガンを掲げるとアメリカは直ちに食糧援助を打ち切る、そうすると自国の人民は飢え死にすることになると言っています。彼らはまた、自分たちは資本主義諸国から機械製品などの商品を輸入しなければならないのに、それらの国と対決すると商品を輸入することができなくなると言っています。少なからぬ発展途上国は自国の軍需工業を持っていないので、自力で武器を生産することができません。発展途上諸国はアメリカと他の大国から武器を買い入れているので、それらの国の言うことを聞かざるを得なくなっています。チュチェ思想に関する国際的な研究組織が学術団体としてチュチェ思想を研究し、その普及活動を活発に行うなら、発達した資本主義国における労働者階級と人民の自主性を実現するためのたたかいにも助けとなると思います。……… 著名な学者である団長先生がチュチェ思想に関する国際的な研究組織の事業を受け持ったとのことですが、わたしはそれを非常にうれしく思います。高齢の団長先生にとっては負担が大きいでしょうが、先生の後ろにはチュチェ思想を信奉する立派な青年たちがいるので、仕事を十分こなしていけると思います。先生は日本にチュチェ思想を研究する人が多いと言われましたが、彼らは日本人民と朝鮮人民のためによいことをしていると思います。
 団長先生が若い人たちを励ませば、彼らは仕事を立派に行うでしょう。………今、国際情勢は複雑をきわめています。………日本人民も以前より目覚めていると思います。『日米安全保障条約』に反対する日本人民の闘争も盛り上がっています。原爆の被害を最初に受けた日本人民は核兵器に反対するたたかいも力強く繰り広げています。日本の少なからぬ人は民主主義と社会主義を志向しています。こうした状況下で、日本人民は軍国主義の道を進む反動勢力に反対するたたかいを一層強化することができると考えます。わたしは、自由民主党の有志議員団がわが国を訪問した時、この部屋で彼らと語らいました。わたしは彼らに、日本は島国で、工業原料の大部分を外国に頼っている、このような状況のもとで日本が軍国主義の道を進むと、世界の人民に憎まれ、工場の煙突から煙が出なくなるだろうと言いました。そして、日本が軍国主義の道を進まずに平和の道を進み、発達した技術で発展途上諸国を助けて発展できるようにすればどんなにいいだろうか、日本が平等な立場に立って発展途上諸国と貿易を行えば、日本人民も裕福に暮らすことができるだろうし、発展途上諸国の人民も日本をありがたく思うだろう、なのに、なぜ軍国主義の道を進むのか、と話しました。すると彼らは一斉に拍手しました。それは、彼らがわたしの発言を歓迎するということであり、日本が軍国主義の道を進むのを望んでいないことを示すものでした。かつて日本は侵略戦争を起こして敗亡し、甚大な被害をこうむりました。そのため、自由民主党の少なからぬ人も日本が軍国主義の道を進むことに反対しているようです。
 もちろん、無謀に軍国主義の道を進もうとする反動分子が日本にいないとは言えません。反動分子は南朝鮮にもいます。日本が軍国主義の道を進むことに反対する日本人民のたたかいと、アメリカ帝国主義に反対する南朝鮮人民のたたかいは互いに結びついています。自由民主党の有志議員団がわが国を訪れた時、わたしは彼らに、南朝鮮の朴正熙(パクチョンヒ)『政権』はたとえて言えば昔朝鮮人が頭に乗せて歩いた冠のようなものだ、冠というものは頭の上に乗せて2本の紐を結んでこそ維持される、紐が切れると冠は風に吹き飛ばされてしまう、ところが、朴正熙『政権』という冠の片方の紐の役割はアメリカ帝国主義者が担い、もう片方の紐の役割は日本の反動勢力が担っている、2本の紐のうちどちらかの紐が切れても朴正熙『政権』は吹っ飛んでしまう、と話しました。すると若い人が立ち上がり、自分たちが朴正熙『政権』を維持している片方の紐を切ってみせると言いました。すると他の人が、今の状況では自分たちがいますぐ冠の片方の紐を切るのは難しいが、うまくすれば片方の紐を緩めることはできると言いました。それでわたしは、冠の紐を緩めるだけでも結構だと言いました。日本帝国主義者はかつて、朝鮮で人民の闘争が起こると干渉し、弾圧しました。朝鮮で甲午農民戦争が起こった時も、日本帝国主義者は自国の居留民の生命、財産を『保護』するという口実を設けて多くの侵略兵力を送り込んで農民軍を弾圧しました。この先、何かの機に乗じて日本軍国主義者が再び南朝鮮に侵略兵力を送りまないという保証はどこにもありません。われわれはこの問題について深く考えています。
……」。