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見出 特別供覧 「金日成主席と日本」130. 親しい隣邦7 132.原則はしっかり、決断は大らかな主席  
日)

9130.親しい隣邦

 1985年10月9日、金日成主席は日本社会党機関紙『社会新報』編集長に会い、その質問に回答を与えた。席上、主席は日朝関係問題について次のように語った。
日朝両国関係のあり方についての希望をお聞かせください。
朝日両国間の関係問題については、すでに機会あるたびに述べているので、簡単にふれておくことにします。朝鮮と日本は海を一つへだてた隣邦であるため、正常な関係を結んで互いに親しくすべきであります。これは朝日両国人民の共通の志向であり念願であると思います。わが共和国政府は、わが国の自主権を尊重し、わが国に友好的な国ぐにに対しては、たとえ社会体制に違いはあっても善隣関係を結び仲よくしています。われわれはこのような原則で、日本とも善隣関係を結ぶことを希望してきました。しかし遺憾なことに、朝鮮と日本の間にはいまなお善隣友好関係が結ばれていません。これは、もっぱら日本政府がわが国に対し非友好的な態度をとっているためです。朝日両国が善隣関係を結ぶためには、日本政府がわが国に対する態度を改め、朝鮮の統一に妨げとなることをしないことです。
 日本政府は「二つの朝鮮」をつくりあげ、朝鮮の分断を固定化し永久化しようとするアメリカと南朝鮮当局者の分裂主義的策動に同調してはならず、朝鮮の北と南に対し一辺倒政策をとることなく、公正で友好的な政策を実施しなければなりません。日本政府がわが国に対する非友好的な態度を捨てて前向きの姿勢をとるならば、朝鮮と日本の関係は正常化し、朝日両国は親しい隣邦となるでしょう。朝鮮人民は日本人民との友好・団結を大切にしており、今後、日本人民との友好・協力関係を発展させるため積極的に努力するでしょう。これまで『社会新報』は、祖国の自主的平和統一をめざす朝鮮人民のたたかいに多くの助力をしてくれました。わたしはこれに対し、編集長先生をはじめ社会新報社のみなさんに深い謝意を表し、これからも『社会新報』が正義の使命を立派に果たし、朝鮮人民の祖国統一偉業に大いに助力してくださるよう期待します」。

132.原則はしっかり、決断は大らかな主席

 朝鮮を数回訪問した日本社会党土井たか子委員長は、1987年9月26日、金日成主席と単独会談を行った。その内容は次の通りである。
主席スケジュールはきつくありませんか。
委員長 いいえ。自分の家に帰ったようです。
主席 今日は少し寒いようです。白頭山は零下7度で雪が降っています。
委員長 平壌はいいお天気で、雲一つありませんね。
主席 平壌も10度です。気温が下がりました。
委員長 でも本当に気持のよい日です。
主席 綾羅島に行かれましたか。
委員長 驚きました。素晴らしいところです。
主席 あそこは、島です。ボートも出せます。青少年のよい遊び場になります。前には牡丹峰があります。
委員長 世界の名所になるでしょう。
主席 そうです。昔から朝鮮の8景があります。平壌はその一つです。
委員長 訪問以来のお心づくしに感謝しています。
主席 配慮といっていただく必要はありません。わが両党は兄弟のようなよい伝統をもっているだけに、当然のことです。私は土井委員長に、はじめてお会いできたことをうれしく思います。一昨日も申し上げましたが、土井先生は日本の著名な活動家として知られています。
委員長 この春、東京で主席の生誕75周年のお祝いの宴に出席させていただきましたが、あらためてお祝いを申し上げます。
主席 感謝します。
委員長 そのとき、お目にかかっていれば幾重にもお祝いを申し上げたと思います。
主席 感謝します。
委員長 金正日書記の生誕45周年を心からお祝い申し上げます。
主席 感謝します。
委員長 来年は、建国40周年をお迎えになりますね。
主席 そうです。お祝いを準備し計画しています。
委員長 社会主義建設が、チュチェ思想のもとに進んでいる様子を見て感激しています。昨日、許錟先生と会談の機会があり、社会主義経済建設7カ年計画の内容を承り、感銘を新たにしました。また、先ほど、主席閣下の言われた綾羅島競技場を見ました。人民の皆さんの元気な建設の模様を見て感銘しました。明日、西海大開発工事の現場を見ることを楽しみにしています。
主席 ぜひ、ごらんになってください。
委員長 社会主義建設の輝かしい成功に感銘を受けつつ、お祝いを申し上げます。昨日、許?先生との会談で漁業協定について合意をいただき心から感謝しています。
主席 どういたしまして。
委員長 両党の協力信頼の関係に立って、歴代委員長が関係を深めてきましたが、私もそのうえに立って、緊張緩和と朝鮮の自主的平和統一にむけて力をつくしていきたいと考えています。南北の関係改善と日朝の友好関係樹立を考えると、東西の緊張緩和が絶対条件です。すでに主席閣下は、南北の不可侵条約を結び、アメリカとの停戦協定を平和協定にすると主張されています。そのなかで、日朝の関係改善正常化についてどんなことを考えておられますか。お伺いしたいのです。私の尊敬する友人に安江良介さんがいます。安江さんの主席との対談が、日本の月刊誌『世界』の85年7月号に掲載されています。私はそれを読んで大変感激しました。そのなかで、主席の言われていることに涙がこぼれました。それは「私は、国の統一を成しとげて、民族分裂の悲劇に終止符を打つことができなかったことを、いつも胸痛く考えています」また「私は解放後から今日に至る40年間、一日として国の分裂について忘れたことがなく、朝鮮人民のなめている民族分裂の苦痛を軽減することを考えなかった日は一度もありませんでした」と言われていることに感動しました。
主席 感謝します。私はまず土井先生が、私の誕生75周年、金正日書記の誕生45周年を祝って下さったことに謝意を表するものです。また、土井先生が団長として訪問された代表団が、許錟同志との会談で一連の問題を話し合われたことに感謝します。また、先生が両党間の協力を緊密にしていこうといわれたこともよいことだと思います。私は、日本社会党の歴代委員長と親しい関係をもって両党の関係を発展させてきました。そして、このたび土井委員長が直接訪問してくださったことは、2人の親しい関係、両党の関係に役立つでしょう。いま、北南関係と統一についてお話がありました。私も簡単に申し上げたい。
 思うに、北南関係改善で最も大切なことは、アメリカの態度にかかっていると思います。アメリカは南朝鮮を自らの軍事基地として利用するために南を利用し、統一会談も行なわれないようにしています。われわれが、北南関係、統一問題を提案しても実現されず、答えさえしていません。ですから、アメリカ人の命令にそのまま盲従盲動する政府があるかぎり、緊張緩和、自主的統一は進みません。こういった政府があるかぎり、われわれの提案は一方的にならざるをえません。ですから、統一問題の実現のためには、南の民主化が進み、自主的政府ができることです。そうならないうちは解決はむずかしい。
 しかし、だからといって手をこまぬいているわけにはいかない。そのために声を大きくして、彼らが少しでも応ずるよう努力しなければならないのです。いまの全斗換政権は、全斗換の頭で考えているのではなく、ワシントンで考えていることです。アメリカの軍事基地が必要だから北の南侵を言って、ひきつづき軍事基地を利用しているのです。
 先程、土井先生も言われたが、アメリカが南朝鮮を軍事基地として必要でないと思うとき、軍縮が進み、よい方向に進展すると石橋前委員長も言われました。私は、今回、米ソがINF交渉で合意したことは大変よいことだと思います。ですから、朝鮮問題においても忍耐強く進めなければなりません。
 私は、二つの朝鮮、民族の永久分裂の策動に絶対に同意しません。一つの民族を二つの民族に永久に分裂させることは、後世だけでなく祖先にも罪を犯すことになります。われわれは、緊張を緩和し、軍事境界線を平和地帯化し、軍縮を進めてお互いの信頼を作り出したい。そこで問題は、南に自主的に進める民主的政権ができれば、緊張緩和、統一もよりたやすく進むと思います。われわれは、日本社会党が、われわれの統一方策を支持し、支持しつづけることに感謝します。朝日関係については、われわれの方には何もない。私の考えでは、この問題は、日本政府にかかっていると思います。日本政府が非友好的態度を改め、取り消すなら容易に解決するでしょう。ところが問題は、日本政府が南一辺倒でアメリカの気分をうかがい自主的解決をしえないで非友好的にしていることです。私は、日本が自主化されれば、社会党のように自主的政府ができれば、関係は必ず改善されると思います。私は以前、自民党の代表団に、アメリカが風邪をひけば、日本がクシャミをするようになってはいけないと言いました。自主的路線を執行する政権ができるときだけ解決されるのです。両国人民の間には何のわだかまりもないよい関係があるではありませんか。土井先生をはじめとする日本社会党が、両国関係改善に努力されていることに感謝します。皆さんが朝鮮総聯を積極的に支持してくださっていることに感謝します。
 この後、主席は食事を一緒にしながら話をしようと誘って一応会談を終了した。主席招待の昼食の一時間余り、主席と土井委員長はさらに国際情勢および朝鮮の統一などについて懇談した。土井委員長は訪朝に先立つ訪米において得たアメリカの政府・議会の朝鮮に対する考え方について話をした。
 アメリカの議会を中心に、朝米の対話促進の意向が強いことを委員長が述べたことに対し、主席は、われわれは、アメリカとの対話の扉を閉ざしたことはない、対話と協調の方針は一貫していると語り、外交官の接触についても、形式的挨拶以上の接触を認めるべきだとの考えを示した。さらに、統一に関連して、北は南に社会主義を押しつけないし、南は北に資本主義を押しつけてはならない、双方の違いを認め合う形での統一の道が可能である、と語ったのが印象的であった。そのほか主席は、社会党の考えているアジア軍縮国際会議の開催に強い関心を示し、朝鮮労働党としても積極的に支持、協力する意向を述べた。
 錦繡山議事堂で開いた土井委員長の答礼宴において、金日成主席と土井委員長は、今回の日本社会党代表団の訪朝が、両党間の親善と友好協力関係の発展のうえで果たした重要な意義と成果を認め合い、両党首同士の友情と親交をあつくしたことを喜び合うと同時に、朝鮮半島の緊張緩和と自主的平和統一の実現に共通の立場と積極的連帯の意思を表明した。また、土井委員長は、朝鮮人民が達成している社会主義建設の成果を高く評価し、金日成主席は、社会党代表団が忘れがたい深い印象を残し、このたびの訪朝が立派な結実をもたらしたことを喜び、日本社会党の全党員と日本人民に送る、朝鮮労働党員と人民の心からの挨拶を伝えてほしいと述べた。
 9月28日、平壌を出発した日本社会党代表団は朝中国境を通過する機内で、土井委員長の名で金日成主席に深い謝意と惜別の情がこもった電文を送った。