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見出 特別供覧 「金日成主席と日本」 141. 過去を反省せずには 143. 346名全員と握手を交わす   
日)

9141.過去を反省せずには

 1991年6月1日、金日成主席は酒井新二社長を団長とする共同通信社代表団と会見し、提起されていた質問に回答を与えた。
 「わたしは、社長先生を団長とする共同通信社代表団のわが国訪問を熱烈に歓迎します。あなたがたと会って知り合いになれたことをうれしく思います。日本の友人がわが国をたくさん訪問するのは好ましいことです。両国友人たちの往来が多くなれば、それは朝日関係の改善と両国人民間の友好の強化に寄与することになるでしょう。金丸信先生がわたしにあたたかい挨拶を送ってくださったことに感謝します。金丸信先生がお元気だとのことでなによりです。わたしは昨年、訪朝した金丸信先生と会って、朝日関係の改善問題について協議し、よい印象を受けて別れました。わたしは、彼との出会いを今でもなつかしく回想しています。帰国しましたら、金丸信先生にわたしの心からの挨拶をお伝えください。これから、あなたの質問にお答えすることにしましょう」。
 ここで主席は、日朝両国間の関係改善のために解決すべき問題は何かという質問にこう答えた。
 「朝鮮と日本との関係改善の問題は本質上、両国間の誤った過去を清算し、両国人民の利益と時代の要請に即応して新たな善隣関係を発展させる問題です。両国間の誤った過去を清算するためには、なによりも過去を正しく反省することが大切です。かつて日本はわが国を侵略した国であり、わが国は日本の侵略を受けた国であります。日本が誤った過去を心から反省するのは、他人のためよりも自分自身のために必要なことです。日本は、過去を反省しわが国との関係を改善するのが有益か、さもなければ現在のような不正常な関係を維持するのが有益かということを熟考すべきです。先見の明ある日本の政治家は、朝日両国間の関係を改善することが日本人民の利益と時代の要請にかなうものであることを十分理解しているので、朝日関係の改善に積極的にのりだし、その結果、朝鮮労働党と日本の自由民主党、日本社会党の共同宣言が発表されたのです。朝日両国間の関係改善の問題が、ある外部の干渉や誤った政治的動機によって影響を受けるならば、円滑に解決されません。朝日両国がともに自主的立場に確固と立ち、問題を誠実に協議していくならば、朝日関係正常化の問題は3党共同宣言の精神にのっとってスムーズに解決されるものと思います。朝日関係正常化のための会談にはまだ大きな進展がみられませんが、言うまでもなく、面識のない人たち同士が会談をするのですから、論争問題もありうるだろうと思います。
 しかし、朝日関係を正常化する問題は両国人民の共通の念願であり、両国が仲よくすることが目的なのですから、会談ではこうした念願と目的にかなうように双方が互いに好ましい発言からはじめるべきです。会談で相手側に耳障りなことを言ったり、基本問題と関係のない問題をもちだすならば、会談を遅延させる結果しかもたらしません。これから会談双方の面識が深まれば、互いに理解し合い、好ましい発言が多く行き交うようになるだろうと思います。双方が努力してまず国交正常化の問題を早急に解決し、そのあとで他の問題を一つずつ協議していくならば、すべての問題をスムーズに解決することができるはずです。わたしは、金丸信先生と田辺誠先生が朝日関係の改善のために多大の努力を傾けていることを満足に思っています。帰国しましたら、金丸信先生と田辺誠先生にわたしの心からの挨拶をお伝えください。朝日国交正常化の実現後にわたしに日本を訪問する意向があるかとのことですが、もちろんあります。日本人民に会うことが悪いはずはありません。わたしは日本帝国主義に反対したのであって、日本人民に反対したことはありません。わたしはつねに、朝鮮人民と日本人民が手をとり合って進むべきであると考えています。朝鮮在住の日本女性の里帰りの問題について言うならば、そうした問題は朝日国交正常化が実現すれば、おのずと解決されるでしょう。………
 軍事境界線の南側にコンクリート障壁がある事実は隠そうにも隠しようがありません。昨年、朝鮮の統一と平和のための国際連絡委員会の発起によって、世界各国の著名な人士からなるコンクリート障壁国際調査団が訪朝し、コンクリート障壁を撮影して世界に公開しました。ところが、日本とヨーロッパ諸国ではアメリカの圧力を恐れて、これについて広く報道しませんでした。今アメリカ人の言うことであれば、おびえてふるえる人が少なくありません。わたしは、アジアの国である日本が自主的に進むことを望みます。日本が自主的に進むなら、アジアの繁栄と平和の保障に寄与することができるものと思います。………
 金丸信先生がアメリカを訪問して朝米関係改善の橋渡しをすると言われたことは、非常に好ましいことです。わたしは、朝米関係の難問を優先的に解決してこそ、朝日関係の問題もスムーズに解決できるという意図から、われわれに対する同情心をもって、彼がそのような着想をしたものと思います。金丸信先生は立派な政治家です。アジアの平和と安全を守るのはアジア諸国人民の共通の課題です。アジア諸国人民はかたく団結し緊密に協力して、この地域から外国の侵略的軍事基地と侵略軍隊を撤収させ、帝国主義者の侵略と戦争策動を阻止、破綻させるためにたたかうことによって、アジアの平和と安全を守らなければなりません。わが共和国政府はこれまでと同様、今後ともアジア諸国との友好・協力関係を積極的に発展させ、アジアの平和と安全を守るためあらゆる努力を尽くすでしょう。わたしはこの機会に、共同通信社が朝日両国人民間の友好の発展に寄与する活動を大いに展開することを希望し、あなたの今後の活動の成果を願うものです」。


143. 346名全員と握手を交わす

 1991年7月、石井一氏(自民党)を団長、田英夫氏(社会党)を副団長とする日朝議連朝鮮訪問団346名(国会議員26名、地方議員320名)が特別機で平壌から金日成主席の現地指導先の咸興に飛び、主席との会見に臨んだとき、一行にとって思いがけない感動的なシーンが展開された。
 遠からず傘寿を迎える高齢の金日成主席が、350名近くの代表団の一人ひとりと握手を交わし、「久しぶりですね」「よくお出でになりました」などといちいち挨拶したのである。その挨拶はなんと40分近くかかった。そのたぐいなき人間味に魅せられ、感激さめやらぬ彼らをまたまた驚かせたのは、主席の世界に冠絶した胆力であった。
 当時、ソ連・東欧社会主義の挫折で世界が騒然とし、人々は、社会主義は敗北した、朝鮮の社会主義も持ちこたえることはできない、と信じて疑わなかった。ところが、こうした質問に対して、主席は憂慮の色を微塵も見せず、悠然と勝利の確信を表明したのである。主席のこの確信を裏付けていたのは、朝鮮革命をゆるぎなく継承し、勝利の一路へと導いている、主席に忠実な後継者の存在であった。
 国内はもとより世界にも革命勝利の象徴として広くその名を知られている金正日書記。主席から革命のバトンを引き継いだ金正日書記が先頭に立っている限り、社会主義の軌道を力強く突き進む朝鮮の前進を阻む力はどこにもない。……
 石井一団長は代表団全員の心情を代弁して、金正日書記にぜひ会わせていただきたいと懇請した。主席は豪快に笑って、「いや、それは本人が決めることです。それに今日は指導のため他所へ出向いているので難しいでしょう」と答えた。平壌に帰った代表団は、地方の現地指導に忙殺されている主席との会見は半ばあきらめていた時に、その事情を知った金正日書記が特別機を出すようはからい、主席との会見を実現させてくれたということを知った。金日成主席だけでなく、金正日書記も日本に関心をいだき、朝日親善に思いを致していることを、彼らはこの一事を通じて理解し、心温まる思いがした。