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見出し特別供覧「金日成主席と日本」20.新聞記者ではなく友人として 21.民族教育は当然保障されるべきこと  
日)

20.新聞記者ではなく友人として

 1971年9月25日、訪朝中の朝日新聞社後藤基夫編集局長一行は金日成主席の接見を受けた。後藤基夫氏は1941年に東大法学部を卒業した後、朝日新聞社に入社し、ロンドン支局長、東京本社論説副主幹、編集局長を歴任した。
 会見席上、主席はまずこう語った。
 「わたしがあなたがたとお会いするのは初めてですが、在日本朝鮮人総聯合会の議長や副議長とあなたがたとは旧友の間柄です。わたしは総聯の議長からあなたがたを友人として迎えるよう頼まれました。それで、われわれはあなたがたを単に新聞記者としてではなく、友人として、国の賓客として迎えています。わたしとあなたがたとの今日の談話は、首相と記者との談話というよりは、友人同士、親友同士の対面と考える方がよいでしょう」。
 厚い情のこもった言葉であった。近しい友を前にしているかのように腹蔵なく話を進める主席の言葉に力を得て、記者たちはこもごも謝意を表した。
 主席は、あなたがたが提出した質問状を関係機関を通して受け取った、あなたがたはさまざまな質問をしているが、その趣旨は理解できる、朝日間の往来が頻繁でないことからわが国の実情に疎くてそのような質問が出されたのであろうと思う、だが、わたしはあなたがたの質問に善意をもって簡単に答えることにした、と言った。
 編集局長一行が提起した質問は多岐に渡っていた。党と国家活動の全般を指導する多忙を極める身でそれら多くの質問にすべて答えるなど到底時間が許さないはずであった。ところが主席は、その貴重な時間を惜しみなく割いていちいち回答を行ったのである。

23.日本は朝鮮の隣邦

 金日成主席は、朝日新聞社編集局長一行に朝鮮と日本との関係問題について語った。
 「朝鮮民主主義人民共和国は創建当初から、わが国に平等と互恵の原則に立って友好的にたいするすべての国と親善関係を結ぶ政策をとってきました。朝鮮と日本との関係について言うならば、日本はかつて朝鮮を侵略した国であり、朝鮮は日本に侵略された国です。朝鮮と日本は歴史的にこのような関係にあります。
 しかし、過去に朝鮮を侵略したのは日本帝国主義者であって、日本人民ではありません。また日本はわが国の隣邦です。したがって、わが国が日本帝国主義から解放され、朝鮮民主主義人民共和国が創建されたのち、われわれは社会体制に相違はあっても日本と善隣関係を結ぶことを希望しました。しかし日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国に対しては初めから非友好的な態度をとり続けてきました。ここにそのいくつかの実例を挙げようと思います。
 1950年にアメリカ帝国主義者がわが国で侵略戦争を引き起こすや、当時の首相吉田は『日本は朝鮮戦争に軍隊と兵器を輸送することによって、国連と合作するであろう』と述べました。1953年に、『韓日会談』の席上で日本側代表は『日本が朝鮮を統治したとは、朝鮮民族にとって有益であった』という途方もない発言をしています。
 岸内閣の時にも、日本の反動層はわが国に対して多くの敵対的な発言を行いました。1958年6月の日本の雑誌に発表されたところによると、当時『韓日会談』の日本側首席代表は『日清、日露の両戦争はいずれも日本を脅かす勢力が朝鮮半島に進出してきたので、これを鴨緑(アムロク)江の外に押し返した戦争であった。…われわれは三たび立ち上がって38度線を鴨緑江の外へ押し返さねば、祖先に対して、先輩に対して申し訳がない。これは日本外交の任務である。日韓両国間に横たわる目前の諸懸案を解決するということもあるが、38度線を北に押し返すことに努力しなくてはならない』と言っています。彼はまた『38度線は韓国の運命線であると同時に、日本の運命線でもある』と述べました。1960年、日本自民党の元副総裁であった大野伴睦という人は『日本、南朝鮮、台湾を合わせて日本合衆国≠つくるべきである』と言いました。これらはみな日本の新聞に発表されたものです。
 池田内閣においても事情は同じでした。……池田内閣になってから、前首相の岸信介は衆議院本会議で『日本の自衛権が南朝鮮と台湾にまで拡張されなければならない』と述べました。1961年2月2日、当時の外相小坂善太郎は『韓国を朝鮮における合法政府と国連の中において38カ国が認めておる。こういう関係で、われわれもこれを認めておるわけである』と述べ、『韓国の主権が北半部にまで及んでいないのは遺憾なこと』であると言いました。1962年9月、池田内閣の法相は『韓国は反共第一線であるので、われわれは朝鮮の統一を絶対に防止しなければならない』と述べました。
 佐藤内閣の時にはもっとひどくなっています。あなたがたの首相を批判するのはあるいは聞きづらいかも知れませんが、佐藤についても二、三言っておかなければなりません。アメリカ帝国主義者は、アジアで敗北するようになると、『アジア人同士戦わせようとする』いわゆるニクソン・ドクトリンなるものを打ち出しましたが、これを真っ先に受け入れたのはまさに佐藤であり、日本人民と各界の強い反対を押し切って侵略的な“日米共同声明”に調印したのもほかならぬ佐藤です。また彼は、南朝鮮人民がひとしく朴正煕(パクチョンヒ)に反対していることをよく知っていながら、朴正煕が不正選挙で大統領≠ノなると、それを祝う≠スめソウルにまでやってきました。これは、彼がわれわれにしてきわめて非友好的な態度をとっている一つの証拠であると考えます。
 日本政府はこのように、歴代にわたってわが国に対し侵略的で非友好的な態度をとってきました。わが国はこれまで日本を侵略したり、日本の内政に干渉したりしたこともなければ、日本に対して敵視政策をとったこともありません。われわれは、つねに日本と友好的な善隣関係を持つために努力してきました。しかし、われわれの一方的な努力だけでは善隣関係は打ち立てられません。これまで朝鮮と日本両国間に善隣関係が実現していないのは、全的にわが国に対する日本政府の敵視政策に起因します。貿易関係を一つとってみてもそうです。われわれは、日本と貿易関係を発展させることを希望し、またそのために努力しています。 日本はわが国と近接した隣国であるから、経済交流を行えば、輸送費も少なくてすむし、いろいろな面で多くの利点があります。しかし、日本がわが国に対して封じこめ政策をとっているので、やむをえずフランス、イギリス、オーストリア、オランダなどの遠いヨーロッパの国々に行って必要な品物を買い入れています。これらの国はわが国と国交関係のない国です。しかし、これらの国はわが国との経済交流を妨げてはいません。ただ日本だけがアメリカ帝国主義とともに、わが国に対し頑固な封じこめ政策をとっています。
 現在、わが国と日本の商社の間で一部貿易が行われてはいますが、日本政府の敵視政策のため一方的な貿易となっています。日本の技術者はわが国に来て工場を見て回ることができますが、わが国の技術者は日本へ行くことができません。そのため日本の工場を見て回ることができず、したがって必要な品物を発注することもできません。日本政府は、わが国の技術者を入国させないだけでなく、軍需物資の統制を口実に日本商社とわが国との貿易を人為的に制限しています。日本政府がこうしているのは、アメリカがこわくてなのか、あるいは南朝鮮の傀儡がこわくてなのか、われわれには理解できません。日本政府は、わが国の人たちを入国させれば共産主義の宣伝をするのではないかと恐れているようですが、それはとりこし苦労というものです。日本には共産党もあり、共産主義の宣伝を行っている人がいくらでもいるのですから、わが国の技術者が日本へ行って、共産主義の宣伝をしたところでしれたものではありませんか。もし、日本の反動集団がわが国に対して経済的な封じこめ政策をとって、わが国の社会主義建設を破綻させようとしているならば、それはまったく愚かな考えです。わが国は日本以外の他の国々と貿易を行っており、わが国に必要な機械と設備をいくらでも買い入れています。日本がわが国との貿易を拒むからといって、わが国の社会主義建設が破綻するようなことは決してありえません。しかしわれわれは、できれば距離の近い日本と貿易関係を発展させることを希望しています。
 最近聞くところによると、日本でわが国の技術者を受け入れる意思を表明したとのことですが、これが事実ならば、われわれはそのような措置を歓迎します。朝鮮と日本両国間に友好関係を結び、ひいては国交関係を樹立するためには、何よりもまず、日本政府がわが国に対する態度を改めなければなりません。日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策をやめなければならず、南朝鮮傀儡政権をそそのかし、再び朝鮮人同士戦わせようとする行為を中止しなければなりません。日本で佐藤内閣がかわるかかわらないかは、日本の内政問題であるので、われわれはそれに干渉しようとは思いません。問題は、日本で誰が首相になるかということにあるのでなく、わが国に対する敵視政策を放棄するか、さもなければ続けるかにあります。日本の首相がかわっても、わが国に対する日本政府の政策が変わらなければ、朝鮮と日本両国間の関係は改善されないでしょう。われわれは、日本政府が時代のすう勢にそって、その間違った政策を改める必要があると考えます。
 最近、日本の進歩的な階層のあいだで、中国と国交を回復し、朝鮮民主主義人民共和国とも国交を樹立するための運動が展開されていますが、これはよいことだと考えています。もし、朝鮮人民と日本人民が共同でたたかい国交を樹立するか、または国交を結ぶ以前にでも友好的な往来が実現されるようになれば、われわれはこれを歓迎するでしょう。われわれは、日本と国交を樹立する前でも、可能な範囲で記者や技術者などの往来を頻繁にし、経済分野や文化分野において交流を広く行う用意があります。しかしこれは一方的なものとなってはならず、どこまでも相互主義の原則で行われるべきであると思います。
 このたびあなたがたは、わが国の芸術団を招請したいと言われたそうですが、われわれはこれを歓迎します。両国間に道を開いて、互いに行き来するのはよいことです。われわれは今後具体的な手順がどうであれ、朝鮮と日本両国間に友好関係が結ばれるかどうかは、もっぱら日本政府の態度いかんにかかっていると考えます」。