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見出し特別供覧「金日成主席と日本」 34.二つの朝鮮は許せない  35.民主的で中立的な日本を  
日)

34.二つの朝鮮は許せない

美濃部 金日成首相が導いておられるこのようにすばらしい国が日本のすぐ隣にあるという事実を日本国民と東京都民に知らせることは、日本を平和の道に進ませるもっとも大きな要因になると思います。こうした面からみて、できるだけ日本と朝鮮民主主義人民共和国に国交関係が正常化できることを願い、もしそれがいますぐというわけにはいかないとしても、経済、文化、体育などの分野において交流しあってゆく事業はどうしても実現したいと思います。わたしは帰りましたら政府と話をしてこのことの実現につとめたいと思います。こんどの訪問に際しても、努力すればある程度のことが実現できるということも改めてわかりました。このたびわたしが朝鮮民主主義人民共和国に来るときも、新聞記者の皆さんが是非一緒に行きたいと希望を提出したのですが、その際、日本の記者が貴国を訪問する以上、朝鮮の記者のみなさんも日本に行けるようにしなければならないとのべ、そのことを外務大臣に強く申し入れて説得しました。
 もちろん外務大臣が充分に答えたとは申せませんが、かなり考え方に影響を与えたと思っています。わたしはこんど帰りましたら、貴国と日本との間の交流を促進するために、できる限りの努力を払おうと思っております。
主席 ありがとうございます。日本と朝鮮との国交樹立問題はわれわれにも興味ある問題だと思います。しかしこれには重大な難関がひとつあります。佐藤内閣のときだと思いますが、日本と南朝鮮の間に「韓日協定」が締結されたことです。その協定の第3条には朝鮮半島での唯一の「政府」は「大韓民国」であると指摘されています。これは佐藤内閣の侵略性を示すものであり、朝鮮にたいする内政干渉と見なすことができます。朝鮮が分裂している条件のもとでどうして「大韓民国」だけが唯一の「政府」となりうるでしょうか。もちろんそれにはこれが国連の決定によるものだとしていますが、国連というものはアメリカ帝国主義の指図のもとに
動く機構であります。ですから国交を樹立するための運動とともに「韓日協定」を破棄する問題がともなわれなければならないと思います。だからこそ南朝鮮の大学生や進歩的な人民が「韓日協定」に反対してたたかいました。わが朝鮮民主主義人民共和国政府声明でも「韓日協定」を認めず、無効であることを言明しました。もちろんそれが軍事同盟の性格を帯びるものではありません。
 しかし朝鮮半島で唯一の政権を「大韓民国」であると認めたことは内政干渉であり、「大韓民国政府」の「勝共統一」、つまり「北進統一」を手だすけすることになります。だから、それは、ひそかに侵略性を含んでいると考えられます。朝鮮半島における唯一の政府が「大韓民国」であるというのですから、朝鮮民主主義人民共和国を消滅しなければならないということにつながるのです。したがって、日本の反動内閣が38度線を鴨緑(アムロク)江の外におし上げなければならないといっているのは偶然ではないと思います。わたしがあなたと日本の親友のみなさんにのべたいことは、「韓日協定」を破棄し無効にすべきだということです。なぜなら、それがわが国にたいする内政干渉であり、「大韓民国」の侵略性を助長し、わが国の分裂を永久化しようとするものだからです。もちろん信念にもとづいて一部の人は南朝鮮と取引きをし、また一部の人は朝鮮民主主義人民共和国と取引きすることができると考えています。
 進歩的な人士はわが国を訪ね、反動的な人びとは南朝鮮へ行くでしょう。そうすることは信念上の問題だから当然なことだといえます。しかしわれわれは「韓日協定」第3条を朝鮮にたいする内政干渉とみなすからこそ、朝鮮民主主義人民共和国と国交関係を樹立するためには「韓日協定」を破棄しなければならないと思います。「韓日協定」を破棄しなければ、1894年に南朝鮮で農民運動が起きたとき、日本帝国主義者が「治安」を
維持するという口実で南朝鮮農民の運動を鎮圧するために入ってきたような条件をつくってやるのと同じことになります。わたしは、日本の記者と話をしたときには、この問題についてこれほどまでに深くたちいりませんでした。しかしあなたが進歩的であり、社会主義にもとづき、社会主義を志向する親友のひとりであるので、またこのような事実を日本人民と日本の親友に知らせる必要があると思い、お話するわけです。朝鮮を承認する問題はまだ時期尚早です。
 「二つの朝鮮」をつくってはなりません。われわれはこれに反対します。いま国交樹立のための運動を展開することも必要ではあります。われわれは日本でおこっているこうした闘争を支持し歓迎します。と同時に「韓日協定」で「大韓民国」を唯一の「政府」としたことを破棄するようにしなければなりません。往来問題についていうならば、われわれは全面的に歓迎します。以前に帰国同胞を乗せた第一船がついたとき、日本の記者が大勢やってきました。そのときわれわれがまず譲歩して入国させました。その後日本政府はわが国の記者が日本に入ることに反対しました。はなはだしくは、わが国の赤十字代表が日本の東京に行くことまで拒んでいます。新潟港の帰国船のまわりでだけ動けるようにし、他所には行けないようにしています。もちろん、だからといってわれわれは、日本の反動内閣がとっているのと同じような行動をするわけにはいきません。
 しかしながら、あなたもいわれたように、いつまでも一方的であってはなりません。それは、わが国の体面にかかわる問題です。日本の記者や人士は、わが国を自由に訪れ、われわれの方からはひとりも行けない、このような不平等な条件に甘んずるわけにはいきません。それに、日本政府がとっている態度でいまひとつ正しくないことは、日本にいる居留民団の人たちは南朝鮮に行き来できるようにしながら、総聯の幹部は朝鮮に行き来できないようにしていることです。これは国際法上からしても正しくありません。日本にいる朝鮮民主主義人民共和国公民には、どうして自分の祖国に往来する権利がないというのですか。日本にいる韓徳銖(ハンドクス)議長は、日本で朝鮮民主主義人民共和国を代弁しており、積極的に支持するわれわれの同志であるのに、かれにまったく会わせようとしません。ですから、このように不平等で一面的な外交がどうしてできましょう。わたしは『朝日新聞』編集局長、『共同通信』記者と話したときには、ここまで深くはふれませんでした。問題を正しくとらえるならば、当然かれらに祖国に往来できる権利があたえられなければなりません。日本の記者にもいいましたが、日本人がわれわれを恐れる理由はありません。共産主義の文献とマルクス主義の書籍は、日本で自由に出版されています。わが国から何人かが行って宣伝したところで、どれほど宣伝ができるというのでしょう。それに、ほかの国の共産主義者の入国は認めながら、どうして朝鮮の共産主義者の入国だけを禁止するのか、これは日本の反動政府が南朝鮮反動どもと結託してわれわれを無視しようとするものであり、「勝共統一」のための共謀、さもなければ助長であるといえます。
 日本は南朝鮮にたいしては「大韓民国」とよびながら、朝鮮民主主義人民共和国にたいしては、朝鮮民主主義人民共和国という呼称をつけずに北朝鮮としています。日本がこのようにいろいろと差別待遇する目的は、南朝鮮かいらいと結託して「韓日協定」第3条を朝鮮人民にむりやりにおしつけようとするところにあります。最近、少しはよくなってきたようですが、これはあなたがたや日本の進歩的政党、社会団体と人民の闘争によるものだと思います。あなたがたは全権代表ではありませんが、東京都知事という地方全権代表としてこのたびわが国を訪問するようになったことは、朝鮮人民と日本人民との関係をいちだんと発展させるのに大きく寄与するでしょう。われわれは、記者交流、文化人の交流、また経済交流にも反対しません。しかし、われわれの方でこれを無理に要求はしません。互恵、相互主義の原則にもとづいてすすめられるならば大いに歓迎します。

35.民主的で中立的な日本を

美濃部 いま金日成首相が話されたことはまったく正しいことだと思います。私個人としては「日韓協定」が非常に不合理であり不当なものであることについてはよく知っております。また、総聯の人たちから、朝鮮民主主義人民共和国、即ち祖国との往来の不自由さからくる切実な問題についてもよく聞いております。わたしはこの不当な事態をなくするということにまったく賛成です。
 わたしはこういった事態を改善して自由な往来を少しでも実現できるよう一生懸命に努力したいと思います。ところが佐藤反動内閣というのでしょうか、自民党保守内閣というのでしょうか、彼らは朝鮮民主主義人民共和国に対して不当な態度をとる以外ないのです。わたしはこれが実状だろうと思います。こうした事態を一日も早く解消しなくてはならないということは当然でありますが、最近になって情勢は若干好転しつつあるのではないかと思います。
 また、中国が国連で自己の正当な権利を回復し、中華人民共和国が唯一の正当な政府として認められました。こうした論理は朝鮮にも拡大されていくはずだと思います。すなわち朝鮮民主主義人民共和国も朝鮮を代表する唯一の正当な政府であるという考え方がつよまるのではないかと思うのです。そうはいっても「日韓条約」がすぐさま廃棄される可能性は極めて少ないので、そのことの実現にいたるまでには一定の時間がかかるだろうと思います。しかし、辛抱強くわたしたちは努力したい、努力すべきだと思います。そうした「日韓条約」廃棄までの段階として、文化、経済、新聞記者の交流、そして在日朝鮮人の人たちの往来の自由などを実現し、その積みあげで条約の廃棄までもってゆく。今回のわたしたちの訪問も、その第一歩です。
 このたび日本の記者が貴国に入国できるようになったことに際してはすでに政府の約束をとってあり、朝鮮民主主義人民共和国の要人をお招きして、その方の訪日を受ける場合、その方に随行して記者がくるといえば、日本政府も承認せざるをえないと思います。このような方法で徐々に交流していき、やがては「日韓条約」を廃棄するところまでもってゆきたいと思っております。
主席 ありがとうございます。われわれはそれがすぐにできるとは考えていません。これも革命闘争ですから長期性をおびており、ながいあいだにわたってたたかわなければならないと思います。

美濃部 いうまでもないことですが、佐藤内閣が倒れたからといってすぐに万事が解決するというものではないでしょう。
主席 その通りです。
美濃部 佐藤が問題なのではなく、保守党自体の性格が問題だと思います。
主席 そうです。わたしは日本の記者たちに佐藤が倒れようが、第二の佐藤が登場しようが、それは日本内部の問題であるので関与しないといいました。問題は佐藤ではなく、反動的な政策を実施するのが正しくないのですから、朝鮮民主主義人民共和国にたいする政策自体を改めるようにたたかうことが重要であると話しました。現在あなたがたがかかげている平和と民主主義、独立と中立のためにたたかうというスローガンは全面的に正しいものであり、また将来そうなるだろうと思います。民主的で中立的な日本を建設するのは、絶対に必要だと思いますし、われわれはそれを全面的に支持します。これは非常によいことだと思います。わが国の事情については、すでに新聞記者たちにくわしくいっておきましたが、もっと知りたいことがありましたら聞いてください。

美濃部 昨夜わたしたちが音楽や舞踊の公演をみて考えたことです。日朝両国間で、いちばん交流しやすいのは、貴国の万寿台(ンスデ)芸術団を招請し、同時に日本の芸術団を貴国に送ることです。これがいちばん実現しやすいのではないかと考えてみました。それはいつ頃実現されるかと考えてみたのですが、首相のお考えはいかがでしょうか。
主席 日本から招請さえあれば行かれると思います。この問題は「朝日新聞」編集局長がきたときに出されたと記憶していますが、かれは、具体的に120名ほど招請するといっておりました。これについて合意をみたとの話もあります。もしも日本が招請するならば、わが方は行く用意があります。われわれは、軍隊を送るのではなく、民間芸術団を送ろうというのです。万寿台芸術団は民間芸術団ですが、この芸術団を送ろうと思います。

美濃部 日本の芸術団を貴国に派遣する問題についてはどうお考えでしょうか。
主席 それに反対はいたしません。
美濃部 それが難しいとすれば、日本側の問題だと思います。
主席 わが方には問題はありません。このたびの訪問の機会にあちこちみて下さい。われわれは、いまも建設をさかんにおこなっています。人民生活をいっそう高めるため、いろんな方面で建設をどんどんしております。いたるところで建設がすすめられている状況を目にされるだろうと思います。今のところ、われわれには、いろいろな面で不十分な点がたくさんあります。それでいま大々的に建設する闘争をくりひろげております。

美濃部 現在はどの部門の建設に力を注いでおられますか。
主席 まず電力工業部門、すなわち発電所の建設に多くの力を注いでいます。水力発電所と火力発電所などを
たくさん建設しています。それに外国と契約して製鉄所も大きなものを建設しています。わが国では原油化学工業が十分に発展していません。いままでカーバイト化学工業を発展させてきましたが、6カ年計画の時期には原油化学工業に中心をおいて建設しています。いま主に化学工場をたくさん建設しています。原油加工工場もたくさん建設しています。もっとも重要なのは、軽工業建設をさかんにすすめていることです。もともとわが国には軽工業の基礎がありませんでした。解放後、大いに力を注ぎはしたのですが、需要をみたすだけの軽工業には発展しませんでした。現在、軽工業を大々的に建設しています。現在、日本の商人や外国の企業体がきて契約を結ぼうとしていますが、さいきん、アメリカのドルの価値が落ちているので、下手に契約すれば価格の上で損をするのではないかとためらっているということです。そこでわれわれは日本のような国が、なにゆえドルを基本にしているのか、日本の貨幣とわが国の貨幣で直接計算することもでき、あるいは、小国ではあるが動揺の少ないスイス・フランを標準にすることもできるのではないかといいました。しかし、かれらはドル建てでやってきた習慣のせいでそうなのか、ドルで取引しようといっていました。その後どうすすめられているのかはわかりません。………日本はドル危機の影響を受けて相当苦境におち入っているようです。現在、わが国は日本と小規模の取引は、たくさんしておりますが、大きな取引はまだ始められていません。われわれは自分で製作できない大型のものは大部分ヨーロッパ諸国から買入れています。たとえば、発電機も大型のものはわが国でつくれないので、ヨーロッパの資本主義国から輸入します。小型のものはつくっているのですが、大型のものはまだつくれません。化学工場設備も大きなものはヨーロッパの国から買ってきます。日本との取引きがうまくいき、日本から買入れるようになれば、運賃も安くつき、お互いに好都合です。ところが、これがまだ解決されないので、大きな発展を見ることができずにいます。まえに日本の記者が書いたのを読んだのですが、朝鮮は近くて遠い国だといっていました。事実そのとおりです。

美濃部 おっしゃるとおりです。もし工場設備などを日本側が輸出する方針をとるとすれば、貴国では、それをうけ入れるものと考えてもよろしいでしょうか。
主席 うけ入れますよ。
美濃部 わたしには財界人の中にも知人がいますから、その人たちとよく相談してみましょう。
主席 わが国の技術者たちは、日本から設備を買入れればヨーロッパ諸国から買うよりもよいともいっています。たとえば、昨年わが国は紡績工場設備を日本からとヨーロッパの国であるドイツから買入れましたが、日本から買ったものがヨーロッパから買ったものより、はるかによいといいます。ドイツのものが自動化の水準が高いという点もありますが、日本のものがわれわれの背丈に合うようにできているのであつかいやすく、便利だということです。また、文字も、われわれが日本語を教えるわけではないけれども、日本語に漢字がたくさんまじっているので、見るのに便利だそうです。われわれは日本の機械を買入れることに反対ではなく、賛成です。政府もそれを支持するつもりです。