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見出し特別供覧「金日成主席と日本」55. ごり押しも反対、哀願も反対 
日)

 1973年の朝日関係はきわめて先鋭化していた。日本反動層の使嗾を受けた日本人不良学生たちが在日朝鮮学生に集団暴行を加える事件が頻発し、朝鮮人民と総聯同胞の憤りは極度に達していた。
 1973年6月12日、国士舘大学の学生と同大学付属高校の生徒20余名が、東京の高田馬場駅で教員と一緒に下校する東京朝鮮中高級学校の生徒を襲って集団暴行を加え、7名に重傷を負わせた。これに先立つ11日にも、国士舘大学の学生と付属高校の生徒数十名が、新宿駅構内で各種の凶器をもって数名の在日朝鮮学生に重傷を負わせた。これらの集団暴行は、60万在日朝鮮公民に対する挑戦であり、国際法と人権に対する蹂躙行為であった。
 朝鮮民主主義人民共和国政府と朝鮮人民は、在日朝鮮学生に対する日本反動層の犯行を、こみ上げる怒りをもって糾弾した。これらの暴行事件は偶発的な事件ではなく、日本反動層の不純な政治的意図による組織的かつ計画的な策動の一環であった。日本当局の公表によっても、在日朝鮮学生に対する暴行は、1971年と72年の2年間に268件発生し、73年の上半期にも56件が発生している。このような暴行事件は、日本政府が在日朝鮮公民の民主主義的民族権利を弾圧、抹殺する目的で、ファッショ的悪法「出入国管理法案」の改悪をはかり、改定案の国会通過を企んでいた時期に頻発していたのである。日本政府の新「出入国管理法案」の反動的性格は、1971年3月22日に発表された朝鮮民主主義人民共和国外務省声明によって暴露されているが、声明は次のように指摘している。
 「最近、日本軍国主義者は、朝鮮民主主義人民共和国敵視政策を一段と露骨化し、在日朝鮮公民に対するファッショ的暴圧の強化策動に狂奔している。日本政府は、朝日両国人民と全世界の社会世論の強い反対によって、既に2度にわたって『廃案』となった『出入国管理法案』をさらに横暴かつ狡猾なものにつくりなおし、去る16日の『閣議』で、これを国会に再び上程することを『決定』した。その凶悪な本質が白日のもとにさらけ出されたように、佐藤一味が作成した『出入国管理法案』は、日本居住外国人の90パーセントを占める在日朝鮮公民の基本的人権と居住権をはじめ、すべての民主的民族権利を乱暴に踏みにじり、彼らの正当な社会活動を『政治活動』という口実のもとに苛酷に弾圧し、ひいては総聯組織を破壊し、多くの在日朝鮮公民を朴正熙(パクチョンヒ)傀儡一味に売り渡そうとするファッショ的文書である。とりわけこの『法案』は『永住権』の取得者に対しては『政治活動禁止事項の適用を除外』するとして、在日朝鮮公民を政治的に選別し、彼らの中に分裂と反目を引き起こす一方、在日朝鮮公民に対し弾圧と恐喝の方法をもってたえず『永住権申請』と傀儡『韓国国籍』を強要しようとはかる陰険な目的を追求している。
 さらにこの『法案』は、社会主義国特に朝鮮民主主義人民共和国と中華人民共和国、ベトナム民主共和国など日本と国交がないアジアの社会主義諸国からの日本入国を極力抑制し、これらの国の人民と日本人民との親善友好関係発展の阻止をもくろむものである。日本軍国主義者のこの悪辣な策動は、アメリカ帝国主義者の使嗾のもと日本の軍国化、再武装化を促し、朴正熙傀儡一味と共謀結託して南朝鮮再侵略の道を開き、朝鮮人民とアジア人民に反対する侵略戦争の準備を
促そうとする犯罪的奸計を露呈している。朝鮮民主主義人民共和国政府と全朝鮮人民は、ファッショ的な『出入国管理法案』を成立させることによって、在日朝鮮公民の諸般の民主主義的民族権利を全面的に蹂躙抹殺しようと企む、日本軍国主義者の極悪な犯罪的策動をこみ上げる憤怒をもって断固糾弾し、それを朝日両国人民と正義を愛する全世界の人民に対する横暴な挑戦として厳しく断罪する。
 歴史的経験は、帝国主義者は戦争政策を強化する一方、国の全般的生活をファッショ化することで愛国勢力と進歩的勢力への攻撃を強化し、彼らに対する弾圧と迫害をいっそう悪辣に強行する方向へ進もうとしていることを如実に物語っている。……日本人不良学生らは集団暴行を加えるたびに、「朝鮮人を殺せ」「朝鮮人は出て行け」などと民族排外的言辞を弄していた。日本警察当局は、在日朝鮮学生たちに対する暴行が白昼公然と行われているにもかかわらず、日本人不良学生は取り締まらず、むしろ被害者を加害者として扱った。甚だしいことには、日本警察は東京の八王子駅で起きた日本の高校生による集団暴行事件にみられるように、被害者である朝鮮中高級学校高級部の生徒15名を不法に逮捕し、見境なく殴る蹴るなどの暴行を加えた。
 これらすべての事実は、在日朝鮮人に対する暴行事件が日本警察当局の庇護のもとに行われており、在日朝鮮公民に対する日本当局の民族差別政策と朝鮮民主主義人民共和国敵視政策から発していることを明白に示していた。在日朝鮮学生に対する集団暴行は、その危険性からしても、日朝両国友好関係の発展を切実に願っている日本人民の志向からしても、決して見逃せない問題として、全朝鮮人民の憤激を呼び起こしていた。在日朝鮮学生に対する暴力行為は、朝鮮人民のみならず広範な日本人民からも強い抗議と糾弾を受けていた。日本当局は在日朝鮮公民と青年学生に対する一切の弾圧策動を直ちに中止すべきであり、今回の暴行事件に関係した犯罪者を厳罰に処し、二度とそのような事件が発生しないよう即時相応の処置を取るべきだという声が日増しに高まっていた。
 さらに、日本当局は朝鮮民主主義人民共和国敵視政策を中止すべきであり、在日朝鮮公民の民主主義的民族権利を全面的に保障し、「出入国管理法案」を即時撤回すべきだという要求も高まっていた。このような時期の1973年6月30日、金日成主席は訪朝中の時事通信社代表団に接見した。これには、時事通信社社長をはじめ代表団一行が参加した。
 彼らの朝鮮訪問を熱烈に歓迎すると挨拶した主席は、最近日本の言論界の少なからぬ人たちがわが国を訪問しているが、これはよいことだと評価した。そして、みなさんはわが国を訪問して現実をじかに見、多くのことを感じたということだが、産業革命を行って100年以上になる日本に比べれば、わが国はスタートしたばかりだと言える、みなさんはこのことを理解したうえでわが国を見学するのがよいだろうと付言した。そのあと主席は、朝日関係についてこう語った。………朝日両国間に善隣友好関係が成立するか否かは、日本政府の態度如何にかかっている。朝日関係を改善するうえで障害があるとすれば、それは日本政府の軟弱さだと言えるだろう。わたしは他国の政府を批判する気持ちはないが、今日、日本政府についての話が出た機会を借りて一言言うならば、日本政府は時代の流れに後れており、軟弱さを内包している。日本政府が軟弱さを内包しているということは、とりもなおさず自主性を守れないでいるということである。日本政府が「日米安全保障条約」や「韓日条約」のようなものを引き続き堅持しようとしているのを見ると、自主性が欠如している。時代の流れにそって進むには、自主性がなければならない。現在日本政府は、われわれと善隣関係を結ぶ時機が到来していないと言っている。わたしが見た資料によれば、日本外相は国会における質問に答えて、日朝両国間の関係改善は、まだ時機が熟していないと答弁した。われわれはごり押しに日本政府と関係を改善しようとは考えておらず、哀願外交もしない。朝日両国間に国交関係が樹立されていないからといって、それが朝鮮人民と日本人民の間の親善関係を発展させるうえで大きな障害にはならないだろう。………
 朝日両国の関係発展でごり押しもしないし、哀願もしないと言明した主席の言葉は、民族的自尊心を何よりも重視する愛国心の発露であった。記者たちは粛然とした思いで、主席の言葉を噛みしめていた。