本文へスキップ

アジア・ウオッチ・ネットワークはアジアに幅広い取材アンテナを張ります。

アジア・ウオッチ・ネットワークAsiaWatchNetwork


見出し特別供覧「金日成主席と日本」   62.公演を間近にして    63.『朝日新聞』の特集  
日)

62.公演を間近にして

 万寿台(マンスデ)芸術団が日本に到着し、公演の日が迫ると、人々の関心はいよいよ高まった。そんな中で、公演開催地の各知事がそれぞれ談話を発表し、各界人士も競って期待を表明した。以下はそれら公演を目前にした反響である。
 美濃部亮吉東京都知事はこう語った。
――朝鮮民主主義人民共和国平壌万寿台芸術団の日本訪問公演を通じて、現代朝鮮芸術の神髄が日本に紹介される。朝鮮の美、朝鮮の心がこのように大規模に、かつ楽しく新鮮な姿で広く日本の大衆の目と耳に接するのは初めてのことだ。わたしは、日朝交流の歴史上画期的な意義を持つこの芸術の使節を諸手をあげて歓迎し、時間をさいて劇場へ駆けつけるつもりだ――

 全国知事会会長の桑原幹根愛知県知事はこう語った。
――万寿台芸術団の公演が盛大に行われることを心から嬉しく思う。豊富な内容と洗練された民族的形式、高い芸術的技巧によって世界各国の好評を博している万寿台芸術団の公演を鑑賞できることを貴重な機会だと思う。このたびの公演が所期の目的を達成し、大きな成果を収めることを願うとともに、これを契機に日朝両国の文化交流が大きく前進することを切願する次第である――

 黒田了一大阪府知事はこう語った。
――平壌万寿台芸術団の日本における公演を心から歓迎する。万寿台芸術団は金日成主席の主体的文芸思想に従って、すでに世界の40余の国で公演し、世界の人々から「黄金の芸術」として絶賛を博しているという。日本訪問公演が日朝両国の文化交流を促進し、相互の理解と親善を深める重要な契機になることを心から願っている――

 亀井光福岡県知事はこう語った。
――著名な万寿台芸術団の日本訪問期間に、福岡でもそのすばらしい芸術に接することができることをたいへん嬉しく思い、心から歓迎する。万寿台芸術団は国内ばかりか世界40余の国で公演し名声を博しているが、地理的にもっとも近い福岡県をはじめ日本の各地で公演するのは、日朝両国間の相互理解と友好親善を深めるうえでも大きな意義があると思う。220名に達する万寿台芸術団の人たちが、日本各地をめぐって日本人民と友好を深めるよう願う。わたしは、万寿台芸術団のわが県訪問を機に、より活発な文化交流が行われ日朝友好の実がみのることを心から希望する――

 蜷川虎三京都府知事はこう語った。
――日本の隣の朝鮮民主主義人民共和国からやって来る平壌万寿台芸術団を迎えることができることを心から嬉しく思う。民族芸術である朝鮮舞踊は美しくて、広く愛されており、すぐれた伝統的芸術に基づく数多くの創作劇と音楽、舞踊などは世界各国で高く評価されている。一点の曇りもない情緒的な歌と、優雅華麗ながらもおごそかな舞踊など、その高い芸術的技巧によって磨かれた舞台は、必ず多くの日本人を陶酔させるだろう。日本訪問公演は8月から9月にかけて各地で行われるというが、世界各国で「世界最高峰の芸術」と絶賛されている万寿台芸術団の公演が大きな成功を収めるよう声援を送るとともに、日朝友好がいっそう固く結ばれることを願う次第である――

 兵庫県知事はこう語った。
――万寿台芸術団が神戸を訪問し、9月5日から7日まで3日間われわれにすばらしい芸術を見せてくれるというが、まことに嬉しく思う。聞くところによると、万寿台芸術団は世界40余か国を訪問して絶賛を浴びたというが、兵庫県民の立場からもこれを心から歓迎する次第である。兵庫県も宝塚歌劇団などがあって、その方面では発展をみているが、今回朝鮮からの親善の使節団がやってきたことを、そんな意味でも嬉しく思う。9月といえば兵庫県の芸術祭典が始まる頃でもある。万寿台芸術団が意義深い9月をいっそう輝かせてくれるものと思う――

 音楽家の芥川也寸志氏はこう語った。
――わたしは、万寿台芸術団が世界各国で好評を博している有名な芸術団であることをよく知っている。遺憾ながら、これまで共和国を訪問する機会を何回も逃し、万寿台芸術団の公演を実際には一度も見られなかった。それでわたしは、万寿台芸術団の今回の日本訪問公演に大きな期待をかけている。朝鮮の自主的平和統一の実現で新たな局面が開かれている今日のような重要な時期に行われる万寿台芸術団の日本訪問公演は、きわめて大きな意義を持つ。わたしは、朝鮮の芸術を代表する万寿台芸術団が広範な日本人民の熱烈な歓迎を受け、公演が必ず大きな反響を呼ぶであろうことを確信している――

 作曲家の服部正氏はこう語った。
――朝鮮の人たちは非常に敏感な感覚を持っている。たいそう立派な演奏を見ることができると期待している――

 作曲家の武満徹氏はこう語った。
――外国の文化にふれることなくしては、われわれ自身の文化も衰える。文化はお互いに交流しながら育つものである。日を追って発展する朝鮮民主主義人民共和国の社会主義体制下の文化に、われわれは深い関心を持ち、このたびの万寿台芸術団の公演に大きな期待をかけている。このような文化交流が発端となって、日朝間の関係が一日も早く正常化することをわたしは心から願っている。万寿台芸術団について言うならば、この芸術団は民族の伝統的な歌唱法、楽器その他わたしたちが大切にし愛する多くの優秀な文化遺産を、積極的に歌劇に盛っているという。今日の民衆の生活にその伝統がどのように生きているかということは、たいへん興味のあることであり、ここからわれわれが学ぶことも多いと思う――

 舞踊家の谷桃子氏はこう語った。
――朝鮮民主主義人民共和国万寿台芸術団の日本訪問公演を心から歓迎する。今回の万寿台芸術団日本訪問公演は、隣国でありながらも互いに閉ざされている日朝間の文化交流の門を大きく開け放つ画期的な契機になるだろうと思う。華麗な舞台、すぐれた構成、それらが伝統的な民族的形式と新しい社会主義的内容で具現された独創的な朝鮮の芸術を必ず自分の目で見たいと考えてきた。朝鮮の舞踊と音楽を満喫できるものと期待している――

 舞踊家の松山樹子氏はこう語った。
――長い間待っていた万寿台芸術団の訪問をわたしたちは熱烈に歓迎する。わたしたちが平壌で親善公演を行ったのは1964年10月であったが、美しい平壌の町並みが今もまざまざと目に浮かぶ。アメリカ帝国主義者の爆撃によって徹底的に破壊された平壌は、金日成主席の偉大な構想と指導によって今日の平壌に建設された。朝鮮民主主義人民共和国の人たちの生活力にみちた偉大さ、このたび訪れる平壌万寿台芸術団はその精神を、朝鮮の伝統的な芸術と新しい歌劇の形式を結びつけて発展させている。演目には祖国を守る朝鮮人民の英雄的気象が生き生きと表現されており、革命的リアリズムとロマンチシズムがよく結びついていて必ず観覧者の感動を呼び起こすだろう――

 俳優の仲代達矢氏はこう語った。
――朝鮮民主主義人民共和国から平壌万寿台芸術団が来るというたいへん喜ばしいニュースを聞いて、その訪問を指折り数えて待っている。日本と朝鮮は歴史的にも、文化的にももっとも近い関係にありながらも、これまでは政治的なものが両国間の交流を遮っていた。万寿台芸術団の日本訪問公演が実現されることになったことを芸能人の一人として心から歓迎し、その日を待っている――

63.『朝日新聞』の特集

 万寿台(マンスデ)芸術団の日本公演を数日後に控えて、主催団体の一つである朝日新聞社は3面にわたる特集を組み、万寿台芸術団を広く紹介、宣伝した。同紙は、1面トップに「花咲くチュチェの芸術」という見出しで、日本公演を間近にした平壌万寿台芸術団の紹介記事を、革命歌劇『花を売る乙女』の1シーンの写真を添えて掲載し、さらに1面下段に舞踊『リンゴの豊年』のシーンを載せた。
 その他の面には「伝統を生かした豊かな創造」という見出しで、革命歌劇『花を売る乙女』の主人公コップニが泥棒の疑いをかけられて殴られる場面、舞踊『雪が降る』『協同農場田野の豊年』『祖国のつつじ』の各シーン、芸術団の管弦楽団と女声パンチャン(傍唱)、平壌大劇場の写真を載せた。
 また、平壌を訪問した同紙特派員の「民族の歌と踊り、繊細な演出、舞台芸術が迫力を添える」と題して、万寿台芸術団に関する2本の記事を掲載したが、そこには次のように書かれていた。
――朝鮮民主主義人民共和国の平壌万寿台芸術団は、1946年に創立された平壌歌舞団の優秀なメンバーをもって1969年に新しく結成された、多くの人民俳優、勲功俳優を擁する最高峰の芸術団である。この国の芸術が指針としているのは言うまでもなくチュチェ思想である。それは民族的形式に社会主義的内容を結びつけたもので、それには思想性と芸術性がともに盛り込まれている。こうして今、その芸術は一輪の大きな花を咲かせている――
 筆者は、朝鮮芸術の主体性は音楽、演劇、舞踊、美術を総合した舞台芸術である「革命歌劇」に見られるとし、日本で公演される『花を売る乙女』はその集大成でもあると指摘した。同紙には、日朝文化交流協会理事、演出家の岡本愛彦氏の話も掲載されたが、氏は、金日成主席が朝鮮の文芸部門の人たちに行った談話と、主体性の確立について語った教示をそれぞれ引用したうえで、「錯綜した国際的環境の中で確固と自主独立路線を貫いてきた朝鮮は、芸術の分野でも伝統を現代的に生かしながら、きわめて個性的に発展させることに成功した国である」と強調し、西ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカなど50余カ国で「世界最高峰の芸術」という最大級の賛辞を受けている共和国の芸術は、決して表現がすばらしいことにとどまらず、つねに民族の躍動する魂を誇らしく描き出すことに、その感動的ともいえる偉大さがあると語った。
 氏は、日本をはじめとする列強の侵略にさらされながらも確固と未来を展望しつつ人民が創造した輝かしい成果が、万寿台芸術団の舞台に反映されているのだと指摘し、商業主義でない人民が創造した真の芸術、それを万寿台芸術団が余さずわれわれに見せてくれるであろうし、この公演が日朝両国人民の真の理解と連帯の掛け橋になってくれることを心から願うと結んだ。