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見出し特別供覧「金日成主席と日本」 66.一家のように  67.朝日新聞日本の労働者階級に送る挨拶  
日)

66.一家のように

 1974年6月30日、金日成主席は関東学院大学教授林要氏夫妻とその孫娘に接見した。主席は、御高齢にもかかわらず朝鮮を訪問してくださったことをうれしく思うとして、その労をねぎらった。主席は、氏がこれまで朝鮮人民のため、総聯のためにいろいろと尽力してくれたことに謝意を表し、次のように語った。
 「われわれは、先生が朝鮮大学校の認可問題をはじめ、在日朝鮮同胞の民主主義的民族権利を擁護するたたかいに少なからず寄与されたことを忘れずにいます。また、先生が総聯第10回全体大会に列席し、立派な祝賀演説をされたことをよく知っています。われわれは先生の高貴な活動にたいそう感動しています。わたしは最近地方を現地指導している関係で、先生に平壌で会えず、こんな遠くまでご足労を願って申し訳ありません。わたしは今日、一国の元首としてではなく、外交的な格式を抜きにして、先生と一家のように、家庭的な雰囲気のなかでお話もし、食事も一緒にしたいと思っています」。
 一家のように!主席のこの言葉に氏は目がしらが熱くなった。
 主席は感動している氏にこう言った。
 「先生の宿所は平壌市内より郊外の方がよいと思い、長寿院(チャンスウォン)に定めました。長寿院という地名はわたしがつけたのではなく、昔からのもので、長生きをする地だという意味です」。
 氏は、恐れ入りますと重ねて謝意を表した。主席は腰を浮かす氏を制して「身に余るもてなしを受けて恐れ入るとおっしゃいましたが、朝鮮人民のためにいろいろと尽力されているお方に、わが国の歓待を受ける資格があるのは当然です。われわれの素朴なもてなしに満足したとのことで、わたしもうれしく思います」。
 主席のこの言葉に氏はまた腰を上げ、自分たちの宿所に衛兵まで配して下さり恐縮の至りです、と重ねて礼を述べた。主席は明るく笑い、それは大切な客へのわれわれの礼儀です、外国の客の宿所に衛兵をおくのは、そこが安全でないとか危険だからではありませんとして、こんな話をした。
 「朝鮮労働党第4回大会のときにあった一つの事実を話しましょう。朝鮮労働党第4回大会には、社会主義諸国の党代表団や資本主義諸国の共産党代表団が多数参加しました。そのとき、彼らがある農村へ行ってみると、農民たちはみな野良仕事に出かけ、家には誰もいないのに、錠をおろしている家は一軒もありませんでした。不思議に思ったある国の党代表団の団長がわが国の幹部に、朝鮮ではどうして家に錠をおろさずに安心して野良に出て働いているのかと質問しました。彼は、わが国には昔から家に錠をおろさずに外出する習慣がある、とりわけ、社会主義を建設している今日、それは至極当然なことになっている、と答えたそうです。わが国では、戸締まりをせずに外出しても、物を盗まれるようなことはありません」。
 主席はついで、氏が白頭(ペクトゥ)山に登ったことに話題を移した。
 「わたしは、先生が御高齢にもかかわらず白頭山にお登りになると聞いて、とても心配しました。元気一杯白頭山に登り、深い感銘を受けたというのは結構なことです。白頭山と三池淵(サムジヨン)が非常に美しいと言われましたが、三池淵は高齢者が休養をとるのに適しています。それで、医者たちは高齢者にそこで休養することを勧めています。わが国では毎年大勢の人が休養所や療養所で保養しています」。
 主席は夫妻を食事に招いた。氏は言うに及ばず、夫人や孫娘も主席の歓待を受けたことが夢のようで、時間が経つのも忘れていた。主席は別れに際して、こう言った。
 「わたしは今日、生涯を教育事業に捧げておられる先生に親友の立場でお会いし、話し合ったことをうれしく思います」。
 林要氏は主席の言葉の一言一言を噛みしめた。一家のように……親友の立場で……なんと深い情愛と意味のこもった言葉であろうか。氏は、このような偉大な方に会い、話を交わしたことを無上の幸福、喜びとして主席のもとを辞した。

67.日本の労働者階級に送る挨拶

 1974年10月12日、金日成主席は日本総評および中立労連代表団に接見した。主席は、総評議長を団長とし、中立労連議長を副団長とする日本総評および中立労連代表団のわが国訪問を熱烈に歓迎するとし、あなたがたのわが国訪問は両国の労働者階級と人民の友好団結の強化にとって大きな意義を持つ、それゆえにあなたがたのわが国訪問を今一度熱烈に歓迎すると力をこめて言った。
 主席の心のこもった挨拶に代表団一同は大きな感銘を受けた。感動に包まれている代表団一行を見回して、主席は熱っぽく語った。
 「われわれは、日本の労働者階級と人民が、民主主義的民族権利を守るための総聯と在日朝鮮公民のたたかいを積極的に支持声援し、わが共和国の正当な偉業に積極的な支持と声援を寄せていることに対し、あなたがたを通じて日本の労働者階級と人民に感謝を送ります」。
 主席は、あなたがたと会えたことを非常にうれしく思っているとして、語を継いだ。
 「あなたがたとは初対面ですが、旧友に会ったような気持です。朝鮮の労働者階級と日本の労働者階級は、過去にも日本帝国主義の抑圧と日本独占資本の搾取に反対する共同闘争を展開し、今日も日本の軍国主義化に反対する共同闘争を行っています。今後も両国の労働者階級はともに手をとりあって共同闘争をさらに強化していくでしょう」。
 主席はこれまで数多くの代表団に会っているが、こんなに大きな喜びと満足の意を表したのは稀であった。朝鮮人民に接する場合も誰よりも労働者、農民を重視し、いささかの間隔も置かずにあつい愛情を注ぐ主席、平凡な人民であるほどより深い親密感を覚える主席の謙虚な人柄は、日本の労働者階級を代表する彼らの前でもそのままにじみ出ていたのである。
 主席の人柄にすっかり魅せられた市川誠団長は、平素胸に秘めていた主席の偉大な政治についての所感を述べた。主席は、団長先生が朝鮮人民のたたかいとわれわれの活動を高く評価し、過分なおほめの言葉をくださったことに謝意を表すると述べた後、日本の労働者階級のたたかいを高く評価するとして、次のように語った。
 「朝鮮人民は、労働者階級を先頭とする日本人民が独占資本に反対し、日本の中立と自主独立、アジアの平和のために勇敢にたたかっていることをよく知っています。あなたがたが日本でアメリカ帝国主義の軍事基地撤廃闘争を力強く展開しており、南朝鮮傀儡一味のファッショ的人民弾圧と、日本反動の犯罪的な総聯弾圧策動に反対する闘争を積極的に展開していることに対し、われわれは非常に感嘆しています。朝鮮の労働者階級と日本の労働者階級がかたく団結して共同闘争をさらに強化するのはきわめて重要なことです。それは朝日両国の労働者階級と人民の闘争が互いに緊密に結びついており、アジアの平和維持に大きく寄与しているからです」。
 こう述べた主席は、朝日両国の労働者階級と人民は、ともに世界帝国主義の元凶アメリカ帝国主義と対峙しているとして、アメリカ帝国主義がなぜ朝日両国労働者階級の共通の敵であるかを明快に説明した。
 「アメリカ帝国主義者はわが国土の半分である南朝鮮を侵略的な軍事基地にかえており、日本にも多くの軍事基地をもっています。アメリカ帝国主義が朝鮮と日本に軍事基地をもっているということは、彼らがいつでも朝鮮と日本、さらにはアジアの他の国の内政に干渉しうる足がかりをもっていることを意味します。朝鮮と日本にあるアメリカ帝国主義の軍事基地が撤廃されないかぎり、彼らはいつでも朝鮮と日本の内政に干渉するでしょう。言いかえれば、朝日両国にアメリカ帝国主義の軍事基地があるのは、われわれ両国がアメリカ帝国主義者の干渉を受ける前提となります。南朝鮮反動層の主人もアメリカ帝国主義者であり、日本軍国主義者の主人もアメリカ帝国主義者です。同じ主人の指図によって動く南朝鮮反動層と日本軍国主義者は今、アメリカ帝国主義者のテコ入れのもとに朝日両国人民の革命闘争の弾圧に狂奔しています。このような意味からすれば、朝鮮革命の対象と日本革命の対象、言いかえれば朝鮮労働者階級の闘争対象と日本労働者階級の闘争対象は同じだと言えます。今日、朝日両国の労働者階級と人民は、ともに反帝戦線にしっかりと立っています。アジアの反帝戦線はきわめて広域にわたっています。日本から朝鮮、中国、インドシナ、そしてイラクとシリアに至るまでの広大なアジア地域に強力な反帝戦線が形成されています。アメリカ帝国主義は、朝鮮人民と日本人民の敵であり、世界の革命的人民の共通の敵であります。今日世界のどの地域をとわず、アメリカ帝国主義者の黒い触手がのびていないところはありません。とくに、アメリカ帝国主義は侵略のほこ先をアジアに向けており、アジアにおびただしい侵略兵力を常時駐留させています。沖縄は形式上、日本に返還されたとはいえ、いまなおそこには多数のアメリカ軍がとどまっています。タイにもアメリカ帝国主義の軍事基地があります。アメリカ帝国主義者は朝鮮戦争とベトナム戦争、中近東戦争で甚大な打撃をこうむり下り坂を転げおちていますが、いまなお侵略の野望を捨ててはいません。帝国主義の侵略的本性はけっして変わりません。
 最近アメリカ帝国主義者は、南ベトナムとタイから一部の軍事基地を撤去してフィリピンとグアム島に移していますが、これも一つの欺瞞策にすぎません。アメリカ帝国主義者がアジアの緊張緩和をはかろうとするならば、フィリピンやグアム島に侵略兵力を移すのではなく、自国に撤収すべきです。また、彼らは南朝鮮と日本を『前哨基地』と称して、そこからは軍事基地を撤廃しようとしていません。こうした事実は、アメリカ帝国主義者がアジアに対する侵略の野望を捨てておらず、アジアにおける緊張緩和を望んでいないことを如実に物語っています。アメリカ帝国主義者が核実験の禁止を唱えているのも、核兵器を彼らの独占物とし、他国にはそれを持たせないようにするための陰険な術策にすぎません。核実験を禁止するくらいのことでは、世界の人民を核兵器の脅威から救うことはできません。核戦争の危険を完全になくすためには、現有の核兵器をことごとく破壊し、核兵器の製造そのものを全面的に禁止しなければなりません。先ごろ、アメリカ国防総省のある男は、アジア問題を『同盟国』に依拠して解決すべきだと言いました。アジアにおけるアメリカの『同盟国』とは日本、南朝鮮、フィリピンといった追随国と傀儡です。アメリカ帝国主義がアジア問題の解決において『同盟国』に依拠するということは、日本や南朝鮮、フィリピンなどの追随国や傀儡を前面におし立てて戦わせ、彼らは死地から身を引き、後ろで指揮をし、兵器の供与でもして戦争で漁夫の利を得ようということです。これは、アメリカ帝国主義者がアジアではアジア人同士をたたかわせ、アフリカではアフリカ人同士をたたかわせ、ラテンアメリカではラテンアメリカ人同士をたたかわせようとする狡猾な『ニクソン・ドクトリン』を追求していることを示しています。
 朝日両国間の国交正常化をはじめ、朝鮮と日本の関係改善の問題が解決されないのも、その直接の原因はわが共和国に対する日本反動層の敵視政策にありますが、後ろでアメリカ帝国主義者が日本反動層を操っていることにも重要な原因があります。労働者階級はアメリカ帝国主義者の掲げる『緊張緩和』の欺瞞的なスローガンに絶対にあざむかれてはなりません。われわれは、アメリカ帝国主義者の『緊張緩和』のスローガンが、世界人民の革命意識を麻痺させ、労働者階級の団結を破壊するための陰謀であることを明確に認識する必要があります。われわれはともに帝国主義に反対し、人民の自由と幸福のためにたたかう人たちです。したがって、われわれは常に帝国主義者の陰謀策動に警戒心を高め、反帝闘争をいささかも緩めてはなりません。日本の労働者階級と人民が繰り広げている勇敢な闘争は、世界の労働者階級と人民、とくに朝鮮人民を大いに力づけています。われわれは、日本の労働者階級の勇敢な闘争を高く評価するものです」。
 主席の言葉に全的な同感を表して団長は、日本の労働者階級は日本の反動勢力に反対し、労働者階級の利益を守るためのたたかいを引き続き強化すべきだと確信していると語った。
 主席は、朝日両国の労働者階級と人民は団結し、南朝鮮と日本にあるアメリカ帝国主義者の軍事基地撤廃闘争を積極的に進めるべきだとして、その必要性を説いた。
 「南朝鮮と日本からアメリカ帝国主義者を完全に駆逐してこそ、朝鮮人民と日本人民は自分の問題を自らの手で解決する条件をつくることができます。また、われわれ両国の労働者階級と人民は全世界の労働者階級や人民と団結し、アメリカ帝国主義が踏みこんでいる世界のすべての地域でその軍事基地を完全に撤廃するため、断固たたかわなければなりません。アメリカ帝国主義者が世界の革命的人民をあざむき、人民の団結を破壊するため狡猾に策動していますが、世界の革命的人民をあざむくことも、反帝戦線にかたく団結している革命勢力を分裂させることもできません」。
 しばらく間をおいた主席は、日本でも自主性を要求する声が日ましに高まっている、今日本の反動勢力はかたくなにアメリカ帝国主義への追随政策を追求しているが、これは歴史の流れに逆行することだとして、いずれは日本にも、日本人民の闘争によって歴史の流れに合致する自主的な政権が樹立されるものとわれわれは確信している、他方、南朝鮮でも社会の民主化と国の自主的統一をめざす愛国的青年学生と人民の闘争が力強く展開されていると強調し、こう続けた。
 「古い帝国主義勢力が淘汰され、新興勢力が成長するのは今日の歴史の流れです。帝国主義者はこの歴史の流れをおしとどめようとあらゆる卑劣な陰謀をこらしていますが、それは絶対に不可能なことであり、新興勢力は歴史とともにますます成長するでしょう。朝日両国の労働者階級がこのような歴史の流れに歩調を合わせて力強くたたかっていくならば、日本の革命も勝利し、南朝鮮における社会の民主化も実現し、わが国の統一も必ず実現するでしょう」。
 主席は確信に満ちた面持ちで代表団の一人一人を見回し、力をこめて言った。
 「終わりにわたしは、あなたがたが朝鮮の労働者階級と人民の挨拶を日本の労働者階級と人民に伝えてくださるよう望みます」。
 代表団一行はこの言葉を、日本の労働者階級に対する主席の深い信頼と情愛の表現として深い感動をもって受けとめた。