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見出し特別供覧 「金日成主席と日本」94.共に手をたずさえて  96.よい季節にまたおいでください  
日)

94.共に手をたずさえて

 1976年11月9日、金日成主席は、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会代表委員である作家の小田実氏に会い、その朝鮮訪問を熱烈に歓迎して次のように述べた。
 「わたしは、あなたが日本人として朝鮮人に深い同情心をいだき、また親しい友人としてわれわれと運命をともにしようとする気持で訪朝したことを非常にうれしく思います。こんにち、朝鮮人民は非常に惨めな運命におかれています。一つの民族が二分されているのです。朝鮮人民は一つの身体が真っ二つにされたような惨めな運命におかれています。朝鮮人民のこのような悲惨な境遇にたいし、世界の多くの人が同情を示しています。とくに隣邦の日本人民は深い同情心をいだいていますが、これは理由のないことではないと思います。わたしは、あなたがたが今年の夏に『韓国問題緊急国際会議』を招集し、その会議が大きな成果をおさめたことに祝意を表します。われわれはこの会議の成果について、新聞や総聯の活動家をつうじてよく知ることができました。あなたが正しく指摘したように、南朝鮮でくりひろげられている民主化運動は世界の人たちにあまり知られていません。ですから、あなたがたがこの夏に『韓国問題緊急国際会議』を開いたことは、南朝鮮でも民主化運動が展開されているということを全世界の人民に知らせた最初の声として、きわめて重要な意義があります。会議参加の範囲は広くないとしても、これは南朝鮮における民主化運動を全世界に知らせる初の会議として、非常に大きな意義があったと思います。第2段階として『朝鮮問題討論会』を開くというあなたの意向ですが、わたしは絶対賛成です。それはあなたの話した内容が、われわれの主張する北と南の各階層人民と各政党、大衆団体の代表からなる大民族会議を招集するという趣旨と同じであるからです。われわれはまだ、大民族会議を開催していません。そうした状況のもとで、日本で先にそのような会議が開かれるならば、それは非常に有意義なことになるでしょう。日本でそのような会議を開催することは日本人民を自覚させるばかりか、南朝鮮における民主化闘争を助け、共和国北半部の人民のあいだで南朝鮮人民への同情心を強めるのに大きな力となるでしょう。またそれは、世界の人民、とくに第三世界諸国人民のあいだで、朝鮮は必ず平和的に統一されるべきだという声を高めるためにも大いに役立つことでしょう。
 われわれはあなたがたの活動を、援助できるところまで各方面にわたって援助するでしょう。わたしの考えでは、『朝鮮問題討論会』は日本人が主催するのが正当だと思います。この会議には『韓民統』『在日韓国青年同盟』と海外在住の各界民主人士、日本の民主人士を参加させるとともに、南朝鮮の民主共和党をはじめ各党派を招くのも悪くないでしょう。南朝鮮の民主共和党や新民党など各党派が参加してもよいし、労働者、農民、学生、小市民など各階層の代表が参加してもよいでしょう。もちろん、こうすれば、そのなかにテロ分子がまぎれこまないともかぎりません。しかし朝鮮のことわざにあるように、ウジをこわがってはみそがしこめぬ、というものです。その会議にはできるかぎり多くの人を参加させるべきだと思います。南北朝鮮の各政党、大衆団体の代表を招くのも悪くないと思います。招かれてどの程度参加するかはわかりませんが、われわれはあなたの活動してみるという意向を熱烈に歓迎し、それに積極的に助力する用意があります。もちろん、その会議に政府代表団は行けないはずです。南朝鮮でも『政府』代表としては行かないでしょうし、われわれとしてもやはり政府代表としては行けません。共和国政府代表団はその会議に参加しようとしても、日本政府が許さないでしょう。しかし、政府代表団の性格をおびない南北朝鮮の民間代表が参加することは可能だと思います。日本人民の助力によって南北朝鮮の各政党、大衆団体の代表が一堂に会するなら、なんとすばらしいことでしょうか。それは今後、大民族会議の基礎づくりに役立つばかりか、ひいては朝鮮の平和的統一の実現にも助けとなるでしょう。このような見地からして、南北朝鮮人民がたとえ第三国ででも会うのは悪くないし、それは非常にすばらしいことだと考えます。それゆえ、あなたがたがこの活動で成果をおさめるならば、われわれは非常に満足に思うでしょう。第三世界諸国代表の会議参加問題についていうならば、われわれの活動が可能な範囲ではすべて参加させるよう活動することができます。会議の日時をあまり早めないようにし、準備を綿密にしたうえで開催するのがよいと思います。具体的な問題は今後、われわれの関係部門の活動家と連携を保ちながら、協議することができるでしょう」。
 金日成主席の話に感激した小田実氏は、少しばかりお伺いしたいことがあると言った。主席は氏の質問に快く応じた。
 「あなたからいろいろと質問がありましたが、それについて簡単に話しましょう。……… わたしは、日本で開催される『朝鮮問題討論会』が朝鮮の統一を願う人たちの会議になることを望みます。会議には、朝鮮の統一を願う人であれば、誰でも参加させるべきです。このような会議は、日本人民がわれわれを支援してくれるうえで大きな意義をもつことになるでしょう。日本の多くの友人や人士に会うたびに話していることですが、日本にもっとも近い隣邦である朝鮮が平和的に統一されれば、日本人民にとっても有益なはずです。わたしは、日本人民がわが国の統一に協力してくれるよう望みます。………つぎに、朝日両国間の関係について話しましょう。わたしは、朝日両国間の関係についてのあなたの主張に全幅的に賛同します。あなたは、日本政府が『二つの朝鮮』をつくりださず、『クロス承認』も認めないことを前提として、朝鮮民主主義人民共和国を承認させる運動をくりひろげると言いましたが、それはりっぱな考えです。この問題は朝鮮の平和的統一問題と結びつけることなしには解決できないことだと考えます。わたしは、日本人民と朝鮮人民の闘争は運命をともにしているというあなたの見解にも、まったく同感です。アジアの平和を維持するためには、朝日両国人民間の友好を強化することがきわめて重要です。日本政府がわが国を承認するかいなかが重要なのではなく、日本人民がわれわれを支持し承認することが重要なのです。…… したがって、朝日両国人民間の友好・団結を強化するために努力することが重要だと考えます。われわれは今後とも、日本人民のたたかいを各方面にわたって積極的に支持するでしょう。朝日両国間の民間クラスの交流を拡大しようというあなたの意見ですが、文化交流をはじめ各分野の交流を活発にするのは結構なことです。文化交流をしようというあなたの意見は非常にりっぱなものです。あなたが指摘したように、まだわが国の対外宣伝活動には多くの欠陥があります。
 わが国を訪れる多くの外国人が現実を見ては、われわれの対外宣伝は現実を100分の1も紹介していないといっています。われわれが対外宣伝活動を活発にできないところには、少々事情があります。われわれにはまだ、外国語の所有者が多くありません。いまはやっと通訳する人を養成した程度で、対外活動を広範に進められる力量はもっていません。わが国の対外宣伝方法を改善する必要があるというあなたの意見ですが、わたしはその意見にも同感です。今後、対外宣伝活動についてのあなたの意見を受け入れるようにします。あなたが要請した朝鮮劇映画『崔家の人びと』を贈ることにしましょう。劇映画『崔家の人びと』は、わが国であった事実をそのまま描いたものです。これは先の祖国解放戦争の一時的後退のときにあったことです。映画に出てくる牧師は、もともと共和国の政策を支持しませんでした。かれはアメリカに大きな幻想をいだいていました。かれは後退の時期、アメリカ軍が自分の村に進駐してきたとき、星条旗を手にして歓迎に出かけました。ところが、アメリカ兵は自動車からおりるやいなやカービン銃で住民のニワトリを撃ち、財貨を手当たりしだいに略奪しました。これを目撃した牧師のアメリカ崇拝感にはひびがはいりました。その後、アメリカ兵は牧師の娘を陵辱し殺害しました。こうして、その牧師はアメリカにたいする幻想を完全にすてるようになりました。これは実際にあったことです。劇映画『崔家の人びと』は、作家がアメリカ人を非難するために事件をつくりあげたフィクションではなく、事実をそのまま描きだしたものです。人民にこのような映画を見せることが必要です。実際のところ、わが国の一部の人に残っていたアメリカにたいする幻想は、アメリカ人自身の非行のため、おのずとなくなりました。アメリカ人は、共産主義者が教会を全部うちこわして宗教を抹殺したといっていますが、共産主義者が教会をうちこわした事実はありません。教会もアメリカ人が爆撃して破壊してしまいました。アメリカ人は、キリスト教の信者であるかないかにかかわりなく虐殺しました。かつては共和国北半部にアメリカを崇拝する人が少なくありませんでしたが、かれらは戦争のときアメリカ人の蛮行を目撃して目覚めました。あなたはさきほど、朴正熙(パクチョンヒ)の人権じゅうりん行為があなたとわれわれとを連帯させる結果をもたらしたといいましたが、それと同じように、アメリカ人自身が朝鮮人民に崇米思想を一掃する教育をしたことになります。現在、南朝鮮の人たちにはアメリカにたいする幻想がありますが、北朝鮮の人たちにはそれがありません。わが国に在留している日本の『赤軍派』の学生に会ってみたいというあなたの要請は、関係機関をつうじて伝え、かれらが応ずれば会えるようにしましょう。あなたの要請をすべて受け入れましょう。わが国の統一のために大いに活躍しているあなたのことなのですから、拒むべきことはなにもありません。関係部門の活動家と協議して、あなたから提起された問題がすべて実現するようにはからいましょう」。
 小田実氏は大きな感動を覚えた。要請をすべて受け入れる、提起された問題がすべて実現するようはからうと答えた主席の回答には、朝鮮と運命を共にしようとする進歩的人士の意思を尊重する主席の信頼の念がこもっていた。

96.よい季節にまたおいでください

 1976年12月21日、金日成主席は朝鮮を訪問した日本教職員組合代表団を引見した。主席は代表団の訪朝を歓迎し、滞在中生活に不便はなかったかと尋ねた。そして、その間手厚いもてなしを受け楽しい日々を送ったという彼らの言葉に、わが国では工場と住宅の建設に追われ、便益サービス施設が十分にととのっていない、だから不便な思いをされただろうが、理解してほしい、と前置きして本題に入った。主席は祖国統一問題について次のように語った。
 「朝鮮と日本は一衣帯水の隣国です。われわれは日本人民との親善をたっとんでいます。あなたがたは朝鮮人民に犯した日本帝国主義者の罪業を思うと合わせる顔がないと言われましたが、帝国主義者と人民は違います。朝鮮人民は日本人民との親善のために努力を続けるでしょう。……… 祖国を統一するうえで重要なことは、南朝鮮人民が強くたたかってアメリカ帝国主義者を南朝鮮から駆逐し、朴正熙(パクチョンヒ)『政権』を覆すことです。朴正熙『政権』はアメリカ帝国主義と日本の反動層に隷属しています。朴正熙『政権』はたとえていえば、昔、朝鮮人が頭にのせていた冠のようなものです。冠は2本の紐で支えられるもので、頭にのせて紐を結ばないと吹き飛ばされます。朴正熙『政権』という冠の一方の紐の役はアメリカ帝国主義者が果たし、もう一方の紐の役は日本の反動層が果たしています。だから朴正熙『政権』は、アメリカ帝国主義者の紐が切れても支えられず、日本の反動層の紐が切れても支えられません。この話は昨年、訪朝した自由民主党有志議員団との会見の席上でもしました。そのとき、一人の若い人が立ち上がり、自分たちが片方の日本の紐を切ると言いました。すると、いま一人が、現状では冠の紐を切ることはむずかしいが、何とかがんばれば、それを緩めることはできると言いました。そうするだけでも、朴正熙『政権』はぐらつき、最後には崩れるほかありません」。
 談話が終わり、別れを惜しむ一同に主席はこう言った。
 「あなたがたの訪朝日程は短すぎたようですが、よい季節にまたおいでください。朝鮮の気候は春と秋が良好です。あなたがたは私の誕生日に際して訪朝したいと言われましたが、そうせずに、5〜6月か9〜11月においでになるのがよいと思います。7〜8月は暑すぎ、12月は寒すぎます。わたしの健康を願って贈り物をしてくださったあなたがたに感謝します」。