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見出し特別供覧 「金日成主席と日本」 98.久野忠治氏が見た朝鮮  99.日本政府に望むこと   
日)

998.久野忠治氏が見た朝鮮

 1977年3月9日の『労働新聞』5面に、日朝友好促進議員連盟会長の久野忠治氏の印象記が掲載された。
その内容は次のとおりである。
 ――1月27日、私は尊敬する金日成主席の接見を受けた。主席の接見を受けたのは、1972年1月についで2度目である。金日成主席は、遠からず65歳の誕生日を迎えるとはとても信じられないほど若々しかった。それにとても情熱的で、おおらかな方であった。
 「久野先生、よくいらっしゃいました」と、主席は私の手を取り、あたたかく迎え入れてくださった。私は感きわまり、こみ上げるものを抑えることができなかった。主席のお言葉を聞きながら、私はずっと感動にひたっていた。朝鮮の統一問題を論ずる時の主席の目は光り、情熱的な主席の言葉は勝利の確信に満ちていた。主席のお言葉を聞きながら私は、外国の軍隊であるアメリカ軍は南朝鮮から直ちに撤退しなければならず、朝鮮問題は朝鮮人自身の手で解決されるべきである、世界で原爆の被害をうけた唯一の国であり朝鮮の隣にある日本は、この国の統一を妨げてはならず、南朝鮮のアメリカ軍と核兵器の撤収を支持すべきであると思った。
 会見が終わり、私を見送ってくださる時、主席は、次に来るときは夫人と孫たちも一緒にお越しください
と言われた。私は胸が熱くなった。強烈な印象を受けた主席のそのときの慈愛に満ちた姿が今も忘れられない。私は、諸政党・大衆団体連席会議が提起した祖国の統一を早めるための4項目の方案を読んだ。日本人としては多分私が一番最初にこの方案を読んだと思う。
 朝鮮の分断は人道的立場からしても絶対に黙過できない。民族の分断は人間社会における最大の悲劇である。分断によって朝鮮民族がなめている苦痛がどれほど大きいかは、当事者以外には誰も理解できないだろう。
私は、連席会議が提起した4項目の方案を一人でも多くの日本人に早く知らせ、みながこの方案を支持するようにしなければと考え、案内者に頼んで日本語に訳していただき、日本に持ち帰った。私は羽田空港に到着すると、その場で4項目の方案を記者たちと関係者に配付した。私は朝鮮の各地を見て歩いたが、5年前とは見違えるほど変わっていた。
 1972年には、平壌で新しく建設された 千里馬(チョンリマ)通りを見たが、今度見ると、大規模な琵琶(ピパ)通り、楽園(ラクウォン)通りなどが建設されており、街路の両側には高層文化住宅が立ち並んでいた。文化住宅は広々とした3〜4DKで、テレビ、冷蔵庫などが備わっていた。とくに感動したのは、どの住宅もすべてオンドル部屋になっており、老人たちが暖かい部屋で余生を送れるようになっていることだった。
これは、人民の生活につねに気を配っている主席の大きな配慮のおかげである。住宅の使用料と電気及び暖房代はただ同然であり、しかも家族数に見合った部屋数の住宅があてがわれるという。こんなすばらしい施策がどの国に見られようか。私はこれまで世界の多くの国を訪れているが、社会主義国であれ資本主義国であれ、
共和国のようにすぐれた住宅施策が実施されている国は見たことがない。日本も朝鮮とは制度が異なるが、住宅の施策の面で学ぶべき点が多いと思った。平壌市内には5年前にはなかった大きな体育館や人民文化宮殿、万寿台(マンスデ)芸術劇場など、いろんな文化施設や経済施設が立ち並び「千里馬の国」の偉容を誇っている。平壌地下鉄は驚きそのものだった。どの駅のプラットホームも広々としており、床や壁、柱には朝鮮の有名な大理石が張られている。壁には見事な壁画が施されており、宮殿のような印象をうけた。 私は共和国側の特別の配慮により、大型ヘリで板門店(パンムンジョム)に向かった。雲一つない晴れわたった空から見下ろすと、大同(テドン)江畔の工業団地で大規模な建設が進められていた。
 農村では大規模な土地改良工事が進められており、畑地灌漑も見事に実現している。農民はレンガ造りの文化住宅に住んでいる。朝鮮の発展ぶりを空から見下ろすことは、外国人の誰もができることではないだろう。これは尊敬する主席のあたたかい配慮によるものである。「板門店事件」が発生していくらもたっていない時であり、そんな意味でも板門店は私の強い関心を引いていた。主席が話されたように、問題の木は共同警備区域内にあった。アメリカ軍が監視の邪魔になるとして木を切ろうとしたのは怪しからぬ行為であり、その底意は「北の脅威」を煽るための政治的目的にあったと直観した。「北の脅威」というものはない。板門店からさほど遠くないところに開城(ケソン)市がある。私は開城で食事をしたが、以前とは異なり、高層ビルやホテルなどの建物が立ち並んでいた。本当に「南侵」の意図があるなら、一体こんな所に大都市を建設するだろうか。それに、軍事境界線の南北にそれぞれ幅2キロメートルの非武装地帯が走っているのだが、北側には田畑が整然と広がっている反面、南側には雑草がはびこっていた。
 これを見ても、「北の脅威」というものは虚偽にすぎないことが確信できるのである。共和国訪問期間、いろいろと配慮をいただき、歓待をめぐらしてくださった金日成主席に心から感謝し、主席の万年長寿を祈ってやまない。私は、日朝両国間の懸案を早急に解決して、日朝友好関係をいっそう前進させ、朝鮮の自主的平和統一を一日も早く実現するために努力を惜しまないつもりである―― 。

99.日本政府に望むこと

 1977年4月23日、金日成主席は、読売新聞社常務取締役兼編集局長の為郷恒淳氏一行と会見し、その質問に答えた。以下はその一部である。
 「つぎに、アメリカ、中国および日本における最近の指導者の交替が、朝鮮とこれらの国との関係にいかなる変化をもたらすだろうかという質問ですが、それについて話しましょう。アメリカのカーター政権についてはさきほど述べたので、これ以上ふれないことにします。中国では華国鋒同志が党主席になりましたが、中国はわが国の隣邦で兄弟国であり、朝鮮人民と中国人民は長年の戦友であるので、朝中両国の関係はきわめて好ましい状態にあると言えます。日本の福田内閣についてはまだ知るところが多くありません。したがって、福田内閣についてはもう少し様子をみなければわかりません。朝日両国の関係は、日本の現政府が自主的な道を歩むか、さもなければアメリカの政策に追随するかという問題と大きく関連しています。したがってわが国とアメリカの関係が改善されないかぎり、朝日両国の関係においても大きな前進はみられないだろうと思います。
 従来の日本政府はアメリカ追随政策を実施し、アメリカのいいなりになってきました。もし日本の新政府が自主性を堅持して進むならば、わが国に対する政策に新たな変化があるかもしれませんが、新政府もやはり南朝鮮の反動支配層と深いゆ着関係にあるので、わが国との関係において、これといった前進がもたらされるとは期待しがたいでしょう。わが国が統一されるまでは、日本政府がこれ以上わが国との関係を発展させるのは
むずかしいだろうと思います。日本政府がわが国との関係で大きな変化をみせることはないでしょうが、アメリカが朝鮮に対する旅行制限措置の取り消しを発表した状況のもとで、日本政府もそれにならって、わが国との人士往来や文化交流程度はもう少し拡大しようとするのではないかと思われます。両国間で人士往来を自由にするのも悪くありません。われわれは日本の現政府にそれ以上のことは期待していません。両国間の人士往来が活発になれば、日本人民は朝鮮人民に対する理解を深めるでしょうし、朝鮮人民も日本人民に対する理解を深めるようになるでしょう。このように両国人民が深く理解し合うのは非常に好ましいことだと思います。
 われわれは日本政府に、われわれとのみ関係を結び、南朝鮮当局者とは関係を断絶せよというような無理な要求をしようとは考えていません。われわれにはそうしたことを要求する必要もなければ、またそのように要求したからといって実現するものでもありません。わが国の統一が実現していない現状においてそういうことを要求するなら、日本政府としても立場が苦しくなるでしょう。それゆえわれわれは、朝日両国の関係問題と関連して日本政府に大きな期待をかけてはいません。われわれが日本政府に望むことは、わが国の統一を妨げるようなことはつつしんでもらいたいということです。日本政府が朝鮮の統一を妨げない政策を実施するだけでも、一歩前進になると思います。日本政府が朝鮮の統一を妨げない政策を実施するというのは、南朝鮮反動層のように米軍の南朝鮮永久駐屯を要求せず、南朝鮮における人権弾圧策動を擁護する行動をさしひかえ、また南朝鮮反動支配層の私腹を肥やすようなことをしないということです。こうすることは朝鮮の統一に大きな助けとなるでしょう。 日本政府がこうするだけでも、わが国に対して好意的であると言えます。われわれは日本政府にこの程度の低い要求を提起します。
 つぎに、朝日両国の貿易関係発展のための連絡事務所の設置と漁業協定締結の可能性について質問されましたが、それは可能であると考えます。しかし、日本政府が同意するかが問題です。日本政府はアメリカの圧力を恐れているので、その圧力をはねのけることができるかということが問題です。日本政府が同意するならば、われわれはそれに反対しないでしょう。問題は日本政府の出方にかかっています。朝日間の漁業協定締結問題については、日本政府が反対しないならばわれわれも反対しないという立場を、われわれはすでに一再ならず明らかにしています。日本社会党代表団が訪朝したときにも、また日朝友好親善漁業代表団が訪朝したときにもそういう趣旨を表明しました。この問題もやはり日本政府の出方にかかっています。
 最後に、読売新聞社がわが国との幅広い文化交流を希望していることについてどう考えるかという質問でしたが、それは非常に好ましいことだと思います。 朝日間の文化交流の拡大は両国人民の利益に完全に合致します。読売新聞社が、日本人民の朝鮮に対する認識と理解を深めるため、こうした事業を発起したのは非常に立派なことです。わたしは、これについてあなたがたに謝意を表します。朝日間の文化交流を発展させるのは、日本人民のためにも、朝鮮人民のためにも有益なことであり、また朝鮮の統一のためにも有益なことです。それゆえ、われわれはあなたがたの発起を全面的に支持し、それに積極的に応じるでしょう。これと関連した具体的な問題については、今後わが国の関係者と協議してください。わたしは今日、あなたがたとお会いして、いろいろな問題について話し合えたことを非常にうれしく思います」。