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技術移転と「中進国の罠」     (2013年9月6日)

 

スリン・ピッスワン氏の公演


 8月末、東京で、スリン・ピッスワン氏の「発展する東アジアにおける日本と変化する世界情勢」をテーマにした講演会が行なわれた。スリン氏は、元タイ外相で、最近まで、東南アジア諸国連合(ASEAN)の事務総長のポストにあった。

 講演で、スリン氏は、日本とASEANの関係を1960年代から振り返りながら、日本が、先頭に立って協力を行ってきたことや、1990年代のアジア金融危機の際の日本の貢献について高く評価した。そして、近年、中国の台頭など国際・アジア情勢は変化しているが、ASEANの地域統合に向けて日本の果たす役割が期待され、TPP交渉においても日本の対応に関心が集まっている、などと述べた。

 さらに、スリン氏は「日本企業が進出し、工場をつくり、人材を育ててくれたことにより、経済成長が実現した。日本がなければ、ここまで近代化されなかった。ASEAN諸国は、日本の民主主義体制、生活様式、職業におけるプロフェショナル性に高度な科学技術を高く評価している」と指摘した。

 現在、奈良県立大学の客員教授にもなっているスリン氏の日本を見る「温かい目」を感じたが、もっとも強く主張したのは、以下の点だった。
  「ASEANはこれまで(日本の)生産基地としての機能を充実させてきた。中国というライバルが登場した中で、これからも日本は、ASEANをこの位置付けのままにしておくのか。科学技術の発展とイノベーションが重要である。この分野についても日本の貢献が期待される」。
 つまり、日本の高度な科学技術の移転により、ASEANを単なる「生産基地」から「科学技術センター」に脱皮させたい、ということである。

 タイをはじめASEAN諸国には「中進国の罠」という「影」が見え始めている。「中進国」に明確な定義はないが、一人当たりの国内総生産(GDP)が4,000ドル前後〜11,000ドルの国を「中進国」と呼ぶのが相場らしい。このレベルになると、軽工業品などで輸出競争力を失う一方、先進国と競争するには技術力が伴わず、成長がストップする、との指摘だ。
 タイの一人当たりのGDPは、約5,000ドル。中進国の入り口付近の位置だ。日本からの高度技術の移転をばねに経済先進国への足掛かりをつかみたい、がタイの願いだ。 











                                         







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