本文へスキップ

アジア・ウオッチ・ネットワークはアジアに幅広取材アンテナを張ります。

アジア・ウオッチ・ネットワークAsiaWatchNetwork


メニュー亜細亜 飛耳長目

タイ リスク       (2014年6月9日)






  反日運動や大気汚染などの公害の深刻化、人件費高騰といった要因から「チャイナ リスク」が指摘されて久しい。その対応策として日本企業は、アジアの進出・製造拠点を中国以外の国にも構築しようとしてきた。「チャイナ プラスワン」だ。
 最近では、「タイ リスク」による「タイ プラス ワン」を真剣に考えている企業も多いという。日本企業に「タイ リスク」を実感させたのは、言うまでもなく、クーデターに象徴されるタイの政情不安である。
 今回、タクシン元首相派の政権が崩壊し、憲法は停止され、夜間外出禁止令が出された。報道規制や政治集会禁止など国民の権利は制約され、経済活動にも影響が出てきている。今年1〜3月の国内総生産(GDP)は前年同期比0.6%減に落ち込み、観光客も減少している。タイの政治混乱は半年以上に及んでいる。

 軍が全権を握ったことで、バンコクの街頭が静かになったとしても、今後、政治混乱に終止符が打たれ、社会が安定する見通しがついたわけではない。ここに八方ふさがりのタイ政治の危機がある。
 また、自然災害への恐れも「タイ リスク」につながっている。湿潤な気候のタイでは、季節的に洪水が
起こる。首都バンコク周辺は、排水トンネルシステムなど、洪水を防ぐための対策が行われていたが、2011年には、チャオプラヤー川流域を中心に工業団地などで多大な被害を出してしまった。自然災害による経済損失額の大きさでは、東日本大震災、阪神大震災、ハリケーン・カトリーナに次いで史上4位、との推計もある(世界銀行)。

 政情不安と自然災害による工場操業やビジネス活動のストップは、進出企業にとって死活問題である。今後、「タイ プラス ワン」の動きは進むのだろうか。こう指摘する経済専門家がいる。
 「最終的な製品組み立てなど技術を要する川下の工程は、蓄積のあるタイに残し、原材料の製造など比較的複雑な技術を要しない川上の工程は、カンボジア、ラオスなどに移転する。こういう動きを見せる日本企業が多くなるのではないか」。
 自然災害は、ある意味では仕方がない。世界のどこにおいても自然災害は起きる。人間が行う災害対策には、限りがある。
 一方、人災(政治的混乱)は、人間の知恵で解決できる。恵を絞り、対立を続ける二つの勢力が和解できないものか。タイには「怒り」や「リスク」より「微笑み」が似合う。









                                         







English version (英語版)


Photo


ビデオ













アジア・ウオッチ・ネットワークAsia Watch Network

Bangkok, Thailand