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庶民派大統領     (2014年8月7日)




ジョコ・ウィドド氏
 インドネシアの新大統領にジャカルタ特別州知事のジョコ・ウィドド氏(53)が選ばれた。10月に就任する。元大統領のスハルト氏の元娘婿のプラボウォ・スビアント氏(62)との選挙戦で、接戦の上での勝利だった。
 ジョコ氏は、家具輸出業で成功した後、ソロ市長を務め、2012年に同特別州知事に就任、清潔さと住民との対話を通じて課題を解決する手法が注目されていた。ジョコ氏の大統領就任は、インドネシアの独立後の歩みを振り返る時、「大きな意味」を持つ。
 スハルト政権以後の大統領は、ハビビ、ワヒド、メガワティの各氏とユドヨノ現大統領の4人。独裁的だったスハルト政権との「政治的距離」は違っていても、いずれも軍人、富裕層や政治家の血筋を引き、その影響を受けた。
 ジョコ氏は、それとは無縁の初めての庶民派大統領だ。権威主義・縁故主義的な体制から脱皮し、民主政治の進化へ導くキーパースンとして位置づけられる。これが第一の「大きな意味」である。
 ジョコ氏は「市長、知事時代に、汚職・縁故主義の排除策として密室でのやり取りを禁じ、行政手続きを電子化した。『ジャカルタ州庁の雰囲気はガラリと変わり、会社みたいになった』と州庁詰めの記者らは評価する」。これは、日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の佐藤百合氏の指摘だ。佐藤氏は、これを踏まえ、ジョコ氏の登場に「政財界の既得権益層は戦々恐々としている」とも指摘した。
 膨大な既得権を解体し、社会保障制度の整備などを通して、貧困層らを視野に入れた「分配」の理念を突き通す――これが庶民派大統領の目標だろう。つまり、権威や縁故による富の「独占」から「分配」への道へ。ジョコ氏登場の第二の「大きな意味」である。しかし、ジョコ氏に対する期待と不安も、同時にここに潜む。

 「既得権解体と分配」を掲げた指導者、と聞くとタイのタクシン元首相を思い出す方も多いと思う。タクシン氏は、ビジネス感覚を政治に取り入れながら、非効率な行政組織の改革や地方の貧困層重視などの政策を推進してきた。批判メディアの封じ込め、といった強硬姿勢もあり、タクシン政権は、大都市の中産階級や既得権益層から反発を食らって、結局、崩壊した。ご存じの通り、その社会対立はいまも続いている。
 ジョコ氏は、国政経験がなく、既得権がからみあう行政・議会を抑え政策を実行できるかどうか。世界4位の約2億4700万人という人口、300以上の民族を抱え、つねに「多様性の中の統一」が求められている「巨大国家」。そこにこびりつく「負の伝統」の削除を進めるのは容易ではない。失敗すれば、混乱はタイどころの話ではない。














                                         







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