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タイ暫定政権の税制改革         (2014年9月30日)






バンコク市内
 国家運営には「お金」がかかる。それを支えているのが財源・徴税である。徴税がうまく機能しなければ、国家の活動が十分に行えなくなるか、行おうとすれば「借金」による埋め合わせしかない。ユーロ危機を招いたギリシャに、その典型的な例を見る。
 『経済学に何ができるか』(中公新書)の中で猪木武徳氏はこう説明している。
「国債乱発による放漫財政が、債務危機となったが、欧米のメディアは、この国の徴税能力、国民の納税への義務感の欠如が致命的だ、と指摘している」。
 ギリシャの金持ちは、脱税するために悪知恵を絞り、税務当局はその防止・摘発のために膨大な人件費、時間を要している。ギリシャ危機の大きな要因の一つは、徴
税問題にあった、という指摘だ。
 ギリシャを思い浮かべたのは、タイの暫定政権が税制改革に乗り出す意向を示し
た、というニュースに接したからである。固定資産税や相続税を新たに導入して富裕層からの徴税を強化するという内容だ。

 これまでタイは相続税・固定資産税がなく、所得や資産格差の固定化・永遠化の傾向が強かった。つまり貧困層はずっと貧乏で金持ちはずっと金持ち、という構図だ。
 両税の導入は、富の再配分や遊休地の再利用を促し、経済の活性化を呼び起こす。これは分かりきったことだが、歴代の政権は、政治家、高級官僚、企業家らの富裕層の反発を恐れるあまり導入できなかった。
 これに不満を抱く農民、市民らの心をとらえたのが、貧困層の「懐(ふところ)具合」に理解を示したタクシン元首相で、タクシン・反タクシン派の激烈な政治闘争が生まれたわけである。政治対立の解消は、まず徴税の不公平さを正すことにあり――暫定政権は、そう決断したのだろう。
 納税・徴税なくしては、国家運営はできない。が、民主政治のもとでは、増税や新税の導入は、理解は得られにくい。日本の消費税アップを見ても明らかだ。
 民主的な政権ではない国軍主導の暫定政権だからこそ、思い切った税制改革ができるのかもしれない。クーデタによる政権転覆・奪取は、「禁じ手」であり、賛成できないが、暫定政権が、タイの社会矛盾の根源ともいうべき相続税・固定資産税の導入を実現し、うまく機能させることが出来れば、その評価は変わるだろう。まさに「けがの功名」である。













                                         







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