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財閥と政権              (2015年1月28日)







「韓進商事」を設立した 趙重勲氏
(大韓航空ホームページより)
 韓国・大韓航空のオーナー会長の娘である前副社長が、離陸直前に自社機を引き返させたとして航空保安法違反などの罪に問われた事件の裁判が始まった。起訴状によると、被告は昨年12月、ニューヨークの空港で、ナッツの出し方に激怒し、乗務員を降ろすよう要求した。怒りの矛先を責任者に向け、飛行機をターミナルに引き返させて、責任者を降ろさせた、というものだ。

 大韓航空というブランドのゆえ、そして世襲経営を続ける財閥への反発が、韓国内で大きな騒動に発展した背景にあった。また、ビッグニュースとなったもう一つの要因として、国民の多くが、大韓航空が世界に羽ばたくまでに至った、異様ともいえる「成長過程」を知っていたことが挙げられる。
 被告・前副社長の祖父である趙重勲氏(1920年〜2002年)は、日本の植民地支配が終った直後にトラック1台で仁川に運送会社「韓進商事」を設立。その後、駐韓米軍と軍需品輸送契約を結び、事業を拡大。さらにベトナム戦争中に、ベトナムに進出し、戦場での陸上輸送まで手掛けた。
 この時にあげた莫大な利益が財閥への道を切り開いたのだ。当時、大韓航空は政府出資企業だったが、朴正熙政権が民営化の方針を打ち出した。
 しかし、入札をしても買い手がなく、結局、政権からの要請で「現金財閥」と言われていた「韓進」が引き取ったという。

  これを機に、「韓進」は大韓航空を中核に陸・海・空にまたがる運輸財閥となる。韓国の財閥グループのいくつかは、政権と寄り添い、ベトナム戦争の特需で成長した。「韓進」は、その代表的な存在である。
 韓国では1997年の通貨危機などを契機に格差が拡大した。財閥は、ほぼ全てが世襲によるオーナー経営で、オーナー一族の2世や3世による暴行事件などはこれまでも、問題となっていた。大韓航空は韓国各紙1面に謝罪広告を掲載したが、批判はやむどころか高まるばかりだ。 国土交通省による調査に不正があったとして同省調査官も逮捕され、国民は財閥の「官との癒着」をも再確認したわけである。

 この「ナッツ・サービス事件」は、冷静に考えれば、企業内のトラブルであり、「逮捕までしなくても」と首をかしげたくもなる。しかし、「戦争」と「政権」によって太った財閥のオーナー子弟の横暴に韓国世論は許せなかったのだ。












                                         







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