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価値観の違い             (2015年3月24日)



オーストラリア連邦 トニー・アボット首相
 「オーストラリア(豪州)をアジアの一員として受け入れるのか」――これは東南アジア諸国連合(ASEAN)にとって難しい問題の一つである。
 とりわけ地理的に近いインドネシアにとっては、豪州は米国と強固な同盟を結ぶ大国であり、その動向に警戒心も強く、豪州との関係もぎくしゃくしがちな面が時折、見られる。
 最近では「死刑」をめぐっての対立があった。インドネシアの司法当局は麻薬密輸で豪州国籍の男性2人に対し死刑判決を出した。2人は、バリ島から麻薬を運ぼうとして2005年に逮捕された豪州人の9人グループのメンバー。この2人が死刑、残り7人の懲役刑が確定した。

 豪州政府は、国内で死刑制度が廃止されていることもあり、「死刑」に猛反発していた。アボット首相はスマトラ沖大地震(2004年)で豪州が支援したことを挙げ「あの時の支援を忘れてはならない」などと発言した。
 この「恩知らず発言」にインドネシア側も反発。国民が「支援金をアボット首相に返す」と募金活動まで始める始末だ。

 東南アジアでは麻薬取り締まりが厳しいのが現実だ。シンガポールでも過去に麻薬密輸で豪州国籍の男性が死刑になったケースもある。マレーシアでも麻薬密輸に同様に厳しい姿勢で、厳罰はインドネシアだけに限ったわけではない。そのマレーシアのマハティール元首相は、こうした豪州とアジアの考え方・価値観の違いに触れながら「豪州人はアジア人になれない」と指摘してきた。これがASEANの各国首脳の根底にあるのかもしれない。

 インドネシアのジョコ大統領は、就任まもないが、「クリーンな庶民派大統領」というキャッチフレーズが色あせた感じだ。与党・闘争民主党党首のメガワティ元大統領との「二重権力構造」がある、などとその政治基盤の弱さが指摘されている。それゆえ豪州に対する姿勢が「弱腰」と国民に映ることを避けたいのだろう。

 豪州は、時の政権によって「脱亜」とアジアの一員であるという「入亜」に揺れ動いてきた。「脱亜」は、対米重視外交で「この地域で米国を補佐する」、「入亜」は地理的にも近く経済成長センターのASEANの中に入り込もうという立場だ。
 2人の豪州人のほか、麻薬密輸の罪でブラジル人とオランダ人らには死刑が執行された。ブラジル、オランダ両国政府は、駐インドネシア大使を召還する「報復措置」をとった。豪州政府は、死刑執行中止を求めながらもインドネシアとの外交関係に影響を及ぼすことはないと表明しているという。
 これは「入亜」をも念頭に入れた豪州の本音である。












                                         







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