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カリスマは健在           (2015年6月2日)




講演する マハティール・ビン・モハマド 元首相
 5月21日、東京都内の大学でマレーシアの元首相、マハティール氏の講演会が開かれた。「平和への知恵――未来のリーダー・国際市民へのメッセージ」がテーマで、多くの市民、学生、ASEAN(東南アジア諸国連合)の在日大使館関係者らが集まった。わたしも聴衆の一人だった。

 マハティール氏はマレーシア第4代首相で、開業医から政治家に転じ、1981年から2003年までの22年間もの間、同国では最長の首相を務めた。アジアを代表する「知日派」で、日本の経済成長を見習おうという「ルックイースト(東方)政策」を唱え、強力なリーダーシップのもと、マレーシアの国力を飛躍的に増大させた。
 その一方で、ASEANの団結・パワーアップに力を尽くしたのはご存じの通りだ。「ASEANの顔」の3人、と言われた中でインドネシアのスハルト元大統領、シンガポールのリー・クアンユー元首相が亡くなり、残るはマハティール氏だけとなった。 

 この一大学が主催する講演会に多くのメディアが集まり、日本の代表的な新聞が報道した。そのカリスマ性は健在なり、が実感だった。約1時間、講演と学生との質疑応答に応じたマハティール氏は、中国や韓国など周辺国との関係における安倍晋三首相の外交姿勢について「日本のためと思っているのだろうが、時に好戦的に映ってしまう」と述べ、対話による緊張緩和を改めて促した。
 一方、戦争責任については「日本の首相が毎年謝罪する必要はない。任期中に1回でいい」と日本政府の立場に理解を示した。しかし、「不必要に他国をいら立たせるのはよくない」と念を押す。
 尖閣諸島や竹島などの問題については、多くの国と国境を接し領土問題を抱えているマレーシアの例を挙げ「国際司法裁判所の判断に従って戦争を起こすことなく解決してきた。日本は他国との争いに戦争という手段を使ってはならない。戦争は最大の犯罪という価値観を世界に広めなければならない」などと訴えた。学生らは、アジアを代表するリーダーの隣国外交に関する貴重な経験、アドバイスに熱心に聞き入っていた。

 マハティール氏は、89歳。講演・質疑応答中、用意したイスに座らず、立ったままで話した。側近によると、趣味の乗馬も続けているとのことで、高齢を感じさせなかった。奇しくも、この講演会の直後にマレーシアのナジブ首相が日本を公式訪問した。
 マハティール元首相は、イスラム教過激組織の「イスラム国」に対するマレーシア政府の対応を批判。また、政府系ファンドにおいて不透明さがある、として現政権の責任を厳しく追及しているという。このカリスマの「頂門の一針」のような発言・姿勢は、現政権も無視できないだろう。













                                         







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