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セレンディピティ           (2015年9月14日)








タイ・クーデター (2014年5月)
 最近、新聞などで「セレンディピティ(serendipity)」という単語を目にするようになった。その意味するところは「偶然や予想外のものを発見する」。また「探しものをしている時に、それとはまったく違う価値あるものを発見する」、「ふとしたことで、チャンスを得る」とも解釈されている。
 日本新聞協会は、総合的な、さまざまな情報が編集されている新聞の魅力を伝えるため「新聞でセレンディピティを」というキャンペーンをしている。
 調べると、そもそも「serendipity」という言葉は、英国の小説家が、250年以上も前に使い出したという。
 童話『セレンディップの3人の王子(The Three Princes of Serendip)』にちなんだもので、セレンディップとは、スリランカのことである。
 3人の王子は旅の途中で、意外な事件や出来事と出会い、もともと探していなかった何かを発見する――というストーリー。そこから「偶然」にまつわる意味が生まれたわけだ。 
 自然科学の分野では、失敗したはず実験が偶然にも意外な結果を生み、しばしばノーベル賞級の大発見につながる。それを「セレンディピティ」と表現してもよいだろう。
 例えば、フレミングが培養実験をしている時に誤ってアオカビを混入させたことによりペニシリン発見をした。またレントゲンが、本来の研究をしていた時に、その副産物としてX線を発見したように、である。

 国際政治・社会を眺めたらどうだろう。偶然、権力が転がり込んでくるクーデターや政変もその例ではないか。軍事クーデターにより、政権が転覆し、軍のトップが最高権力の座におさまる。「偶然」なのにそれが長期化していく。いまのタイがそれだろう。
 2014年5月、タイでは立憲革命以来、19回目の軍事クーデターが起きた。陸軍が政治的混乱の収拾、
平和と秩序の維持を名目として全土に戒厳を発令した。陸軍司令官のプラユット氏がテレビ演説を行い、国軍などにより構成される「国家平和秩序維持評議会」が全権を掌握する必要があるとし、プラユット氏が、暫定首相に就任した。
 国軍にしてみれば「ふとしたことで、チャンスをつかみ取った」という心境だったかもしれない。それから約1年半。今月になって、新憲法最終草案が否決された。民政移管の時期は遠のき、軍政がさらに長期化する懸念が出ている。
 「偶然は構えのある心にしか恵まれない」。セレンディピティのポイントと言われるフランスの科学者、パスツールの言葉だ。日々の研鑚の積み重ねと素養が無ければ「構えのある心」は生まれない。科学者だけではなく、政治家らもかみしめてもらいたい指摘だ。










                                         







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