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カシミール            (2016年10月3日)




緑色はパキスタン、 茶色はインド支配地域
 カシミールを巡り、インドとパキスタンの間で緊張が高まっている。この地域は、両国と中国の国境地帯に広がり、印パは1947年の分離・独立以来、領有権を巡って紛争を繰り返してきた。
 インドと中国との間も国境が画定されていない。カシミールは、「インドのスイス」と言われるような冷涼な気候とは裏腹に「核」を保有する印パ中が向き合う熱い最前線である。

 9月18日のことだ。インドが実効支配するジャム・カシミール州で、武装集団が
インド軍基地を襲撃、多くの兵士が死傷した。軍当局者はパキスタンを拠点とするイスラム過激派が越境して攻撃を実行したとの見方を示している。
 インド側はたびたびパキスタンからの越境テロを非難し対策を求めていた矢先だった。
 昨年は、こうした緊張事態になるのが考えられないほど融和ムードが漂っていた。昨年12月、モディ首相は、インドの首相としては、12年ぶりにパキスタンを訪問し、シャリフ政権と包括的対話の再開を確認している。
 しかし、今年7月になって、このジャム・カシミール州で分離・独立派の武装組織幹部がインドの治安部隊に殺害され、これをきっかけに分離・独立派デモと治安部隊の衝突が続きデモ参加者ら約70人が死亡する事件が起きた。

 「雪解け」から「対立」へ。約10年前にも同じことが起きている。2005年、パキスタンのムシャラフ大統領(当時)が、クリケットの国際試合観戦のため、と開催地のインドを訪問、シン首相(当時)と首脳会談を行ったのだ。双方は、カシミール問題で、停戦ラインを越えるバスの増便などで合意した。クリケットは、両国を支配した英国の伝統の球技。当時は、米中関係正常化の糸口になった「ピンポン外交」のように「クリケット外交」が友好関係の構築につながる、と注目された。
 しかし、パキスタンの内政混乱、ムシャラフ大統領の辞任などでそうはならなかった。信頼醸成が進みかけると決まったように空中分解する。内政混乱に加え、テロなどが起き、それがエスカレートし、かえって対立が先鋭化する。その構図から抜け出せない。

 インドはヒンドゥー教徒が、パキスタンはイスラム教徒が大半を占め、その宗教上の違いから、両国は深刻な対立を続けてきた。深刻さの象徴が、このカシミール問題だ。南アジアの大国から世界の大国を目指すインドにとって隣国のパキスタンとの反目は、取り除かなければならない「トゲ」だ。
 国内の安定、経済の活性化に迫られているパキスタンにとってもそれは同じ。インドとの友好関係の構築ほど外交上の重要課題はない。












                                         







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