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福島原発事故と「フィリピンの教訓」 (2016年11月14日)



福島第一原子力発電所
(左から 4号機、3号機、2号機、1号機)
 ベトナムの原発建設計画が白紙撤回される見込みだ。日本などが受注を決めた中部のニントゥアン省の原発で、ベトナム国会では、政府が計画の中止を求める決議案を提出した。
 日本は官民一体で輸出・売り込みを図り、当初、ベトナム政府は初の原発を2020年から稼働させる方針だったが、福島の原発事故を受けて津波対策などが必要となり延期されてきた経緯がある。
 今回の白紙撤回は、想定を大幅に上回る建設費問題や財政難とともに核廃棄物への懸念が理由という。原発輸出を成長戦略の一つに位置づける安倍政権にとっては大きな打撃となりそうだ。 
  ベトナムでの原発建設の棚上げは、ほかのASEAN(東南アジア諸国連合)の国々にも影響を及ぼすだろうか。報道などによると、インドネシアでも、国内初の原発建設に向けた計画がある。また、マレーシアも2021年をめどに初めて原発を導入する方針を打ち出している。タイも2028年までに原発5基の建設計画があるという。
 しかし、福島の原発事故が起きて「原発施設の稼働で長年の歴史がある日本で、事故が起きた。建設は、急ぐ必要はないではないか」という建設に消極的な空気が漂い始めたという。ベトナムにもいまも影響したのかもしれない。

 そもそもASEANには「フィリピンの教訓」が根強くある。 フィリピンは、早くも1970年代に原発建設を着手していた。しかし、折悪く1979年のスリーマイル島、1986年にはチェルノイブイリの両原発で大事故が発生した。当時のマルコス政権スキャンダルもからみ、バターン半島にほぼ完成していた原発が中止になった。この時期にタイでも計画があったが、白紙に戻された。
 ASEAN各国は1997年に「東南アジア非核兵器地帯条約」を発効させた。域内での核兵器製造・核実験の禁止などを定めているが、原子力の平和利用はこの限りではない。それにもかかわらず、各国が長い間、原発建設計画を明確に打ち出せなかったのは、この「フィリピンの教訓」がまとわりついていたからだ。
 ベトナムをはじめASEAN各国は、経済成長を支えるため、エネルギー確保に頭を痛めている。これまで電力を供給してきた大河・メコン川での水力発電も環境破壊などで大規模開発は難しい。しかし、頼みの原発には、安全性や膨大な建設費などの高い壁がある。この地域の「原発空白」の状況は今後も続くのか。












                                         







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