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中国のモグラ          (2016年1月13日)





 正月早々、中国外務省は、南シナ海の南沙諸島にあるファイアリクロス(中国名・永暑)礁に建設した飛行場で民間航空機の試験飛行を実施した、と明らかにした。中国が南沙諸島の飛行場で試験飛行するのは初めてで、ベトナムは「ベトナムの主権に対する著しい侵害だ」と中国を批判し、抗議文を出した。これに象徴されるように、東南アジア諸国において、今年も巨体を持て余している感がある、中国の挙措動作が焦点になるだろう。
 日本を抜いて世界第2位の経済大国になった中国。以前のような2桁成長は無理としても中国経済は依然として高い成長率を示している。人口、国土の広さなどを考えれば、今後も成長し続ける可能性は高い。しかし、格差の問題や環境汚染、大事故の多発、社会腐敗など目を覆いたくなる事案が多すぎる。上海などの繁栄ぶりに見られる経済大国にふさわしい21世紀の先端部分と19〜20世紀の「遺物(社会構造)」を同時に背負った矛盾多き国、といえるかもしれない。 

 こうした中国の現状を気鋭の経済学者・浜矩子さんは『中国経済 あやうい本質』(集英社新書)の中で、「モグラたたきゲーム」に例えて、次のように指摘している――中国のモグラは大別すると、9種類になる。「賃金」、「インフレ」、「民主化」、「内需」、外資系企業の「流出」・「流入」、「恐慌」、「人民元」、「貧困」で、モグラたちは、地下で放射線状に広がる多角的シーソーに乗っている、というのだ。
 浜さんは、そのゲームについて「インフレモグラはたたかなければならない。それをしなければ労働者たちの不満がたまる。不満がたまれば、民主化モグラが出る。だが、インフレ抑制のために賃上げ抑制に向かえば、やっぱり民主化モグラが出る」、「(モグラたちは)こちらが下がればあちらが上がるという一対一の関係ではない。どの穴からモグラが出現するか解らない」とそのゲームの難しさを解説している。

 これは、経済面に光を当てたものである。さらに場合によっては、「外交問題モグラ」が登場してもおかしくない。共産党政権の正当性を否定しかねない「民主化モグラ」を抑えるため、周辺国との歴史・領土問題、その動向に国民の目を向けさせ、敵対姿勢を植え付け、愛国心をくすぐる。が、そうすると周辺国との間がぎくしゃくし、対立する。すなわち「外交モグラ」が登場してくるわけだ。
 「民主化モグラ」をたたき過ぎれば、「人権モグラ」も出てくるだろう。21世紀と前世紀を同時に生きざるを得ない中国。ひょんなことからさまざまなモグラが出てくる。そのたびに、周辺国は、巨体の揺れの「余震」に悩まされる。












                                         







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