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大統領制と政権           (2016年12月13日)



朴 槿恵 大韓民国第18代大統領
 韓国の国会は朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案を可決した。朴大統領は、任期切れの2018年2月を待たずに、来年4月退陣、6月大統領選との日程について受け入れを明言していたが、今回の可決で黄教安首相が職務を代行、大統領の罷免の最終的な是非については、180日以内に憲法裁判所が判断することになる。
 いずれにしても大統領は任期前にその座から退く可能性が強くなった。
 それでも国民の怒りは収まらないようだ。公職者ではない知人の女性が国政に過剰介入したり、朴大統領自身が設立に関わった財団に対して、財閥グループに出資を要請したりするなど次々と疑惑が浮上し、大統領の支持率は、2週連続で歴代大統領の中で最低の4%を記録したほどだ。

 過去の政権の低支持率を調べると、アジア通貨危機で1997年に国際通貨基金(IMF)へ支援を要請した金泳三大統領(当時)に対する支持率は6%。金泳三政権時代にソウルに新聞記者として駐在したが、その失政による社会・経済の沈滞ぶりは「韓国沈没」の様相だった。今回はこの時の支持率を下回ったわけで、その深刻さと国民の怒りの強さが分かる。

 韓国では、2004年に選挙中立違反を理由に盧武鉉大統領(同)の弾劾訴追案が可決された時や、2008年に李明博大統領(同)が米国産牛肉の輸入再開を決定した後、ソウルで大規模デモが起きた。
 今回の大規模集会には警察発表で32万人が参加し、1987年の民主化以降、最大規模だったという。これでは「大統領の早期辞任・弾劾」しか選択肢はない。

 韓国の政治史をながめると、こうした危機に陥ると浮上してくるのが議院内閣制の導入である。韓国の大統領の任期は、1期5年。歴代政権を見ても、任期が残り少なくなると、決まって大統領の側近、身内の金銭スキャンダルなどが表面化し、国民の支持率が大幅にダウンする。
 与党政治家、官僚ら優秀なブレーン役を果たしてきた人々は、次々と大統領から離反していく。次期政権で登用されることを視野に身の保全を図るためだ。そして、現政権は「死に体」になる。1期5年の大統領制は、構造的な問題があるかもしれない。

 ここで出てくるのが、議院内閣制なのだが、政権交代などで危機から脱するといつのまにか消えてしまう。政策決定の手続きに時間がかかる議院内閣制よりも「トップの一声」で物事が決まる大統領制の方が韓国人の気質にあっているのだろう。
 北朝鮮と対峙する韓国は「権力が集中する大統領制の方が有事の際、即応態勢を構築できる」という思いもあって、大統領制は続いてきた。ただ今回の混乱を受けて、次期政権では、いまの大統領制を見直し、任期を「2期4年に変える」などの声が強まるように思える。












                                         








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