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ガルーダとテロ          (2016年1月26日)



インドネシアの国章
 1月中旬、インドネシアの首都ジャカルタの中心街で自爆テロが起きた。多くの市民が巻き添えを食った。過激派武装組織イスラム国(IS)は「カリフ国の爆弾が十字軍の仲間を攻撃した」と犯行声明を出した。
 インドネシアでは、以前から「ジェマ・イスラミア(JI)」などのイスラム系過激派組織がテロを繰り返してきた。2002年に、バリ島での爆弾テロで邦人2人を含む200人以上が犠牲になったのは記憶に新しい。最近もISの主張に共感する若者も少なくなく、イスラム過激派の動向をインドネシア政府は警戒してきた。その中での凶行は、無差別テロへの対策の困難さとアジアにもISの魔の手が忍び寄ってきたことを浮き彫りにさせた。
 東南アジアへのイスラム教伝播の歴史は古い。アラブからインドを経て信仰体系として伝わるのは、9〜10世紀ごろと言われている。沿岸の都市や島しょ部で宗教として定着するのは、13世紀以降である。
 や固有の習慣なども薄められていく。 
 東南アジアには、すでに独特の精霊信仰、固有文化が根付いており、イスラム教もそうした地域文化と融合の上、人々に受容されてきた、といえる。イスラム教の持つ排他的な面こうした歴史からインドネシアやマレーシアでは「アガマ(宗教)は海からやって来て、アダット(民族固有の習慣・伝統)は山から来る」との言い伝えがある。海の向こうから来た宗教(イスラム、ヒンドゥー)を巧みに取り入れ、伝統の中に溶け込ましてきたアジアの知恵をそこに見る。

 インドネシアの建国の父、スカルノ初代大統領の父は、ジャワのイスラム教徒、母はバリ島のヒンドゥー教徒だったという。さまざまな宗教・文化・民族を抱えながら国としてまとまりを目指すインドネシアの多様性と寛容さが感じられる。
 インドネシアの象徴である「ガルーダ」は、伝説の鳥である。それが描かれている国章には「ビネカ・トゥンガル・イカ(多様性の中の統一)」と書かれている。インドネシアは世界最大のイスラム教徒の国で、人口約2億5000万のうち約8割を占める。大部分が穏健で寛容だ。そこには、「多様性の中の統一」の精神が貫かれている、といえよう。
 しかし、グローバル化の波とともにイスラム過激派の波もインドネシアを襲い始めた。今回、過激思想の影響を受けたテロの脅威が、中東、欧米から、東南アジアにまで浸透していることが鮮明になった。日本大使館にも近いジャカルタ中心街での犯行は、衝撃を与えた。

 同様のテロがさらにアジアに広がる危険性がある。マレーシアや昨年8月に爆破テロが起きたタイ、南部にイスラム教徒が多いフィリピンなどは、ISが付け入る余地があり、要注意だ。












                                         







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