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税 金              (2016年5月31日)



香 港
 タックスヘイブン(租税回避地)に関わる「パナマ文書」が国際社会に衝撃を与えた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が分析したところ、大企業だけでなく、多くの個人が利用していたことが判明した。利用者には日本企業や日本人も含まれている。
 租税回避地とは、税金がないか、税率がとても低い国や地域を指す。情報をほとんど明らかにしないのが基本だ。 法人をつくること自体が違法だとか問題だとは言えないが、持っているお金を目立たないように租税回避地に送れば、税金を少なくすることができる。
 トマ・ピケティがその著書『21世紀の資本』で指摘したように世界中で所得と富の分配の不平等化・格差が進んでいる。一部富裕層が租税回避地を利用し、ますます富み、きちんと納めている人との間に不公平が生まれる、のは納得がいくまい。
 
 このパナマ文書から出た企業や株主の住所で突出しているのが中国、そして香港だった。バブルの時代に、取材にその香港に行ったことがある。当時、日本では、株式・不動産市場が沸騰し、億万長者が多数生まれた。転がり込んできた大金をどうするのか。
 「ごっそり税金で持っていかれては困る」と一部の資産家は、現金をバッグに入れ、香港に飛ぶ。1000万円の札束は、俗称で「レンガ」と呼ばれていた。ちょうど赤レンガの大きさで、「レンガ10個=1億円」を意味した。

 香港の街には、日本人が駐在する事務所があり、そこでペーパーカンパニーをつくってもらい、銀行口座をつくる。そこに「レンガ」を預けるのだ。事務所が現地の連絡先となり、銀行などからの要件を受け付ける。さらにその「レンガ」は、他国の銀行の口座にも移し替えられる。日本の税務当局の網の目から逃れられる――という「筋書き」の取材だった。
 取材に訪れたのは、中心部の古ぼけた雑居ビルの中にあった小さな事務所だった。日本人の女性が1人いて、悪びれた様子もなく、「筋書き」を説明した。
 その後、香港は、税逃れ地の汚名を返上するため、法令改正を進めできたが、当時は、こうした手口が横行していたのだ。
 今回のパナマ文書には、こんな個人の「レンガ単位」とはスケールが違うケースが多い。多数の国の指導者が関与していた疑いも浮上した。報道によると、極秘裏に核兵器開発を進めていたカダフィ政権時代のリビアが、世界各地の「租税回避地」を隠れみのにして関連機器の代金を支払っていたという。
 租税回避地の悪用は、税の公平性の問題を超えて、国際政治・安全保障を揺るがす重大事となる。 












                                         







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