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 仲裁裁判所            (2016年6月29日)



国際司法裁判所(オランダ・ハーグの「平和宮」)
 南シナ海のほぼ全域に主権がおよぶとする中国の主張に対して、フィリピンは、「国際違反だ」とし、2013年、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判の開始を通告した。
その審理がオランダ・ハーグの仲裁裁判所で仲裁人により進められていた。
 仲裁裁判所は、今年の6月にも決定を下すとの見方があり、このコラム掲載時には、中国の領有権主張が合法か否かについての最終判断が示されているかもしれない。が、いずれにしても中国は、不利な判断が出されてもすんなりと応じない状況である。
 当初から中国は「南シナ海の主権に関わる問題で、裁判所に管轄権はない」と主張し、裁判所の要求に応じる意思がないことを明らかにしていた。 
 
 「このような仲裁は受け入れられず、参加するつもりはない」が、中国の原則的立場だ。仲裁裁判所に持ち込まれたことに対し配慮するどころか、その直後から、激しく領有権が争われている場所で、埋め立て、軍事化の計画を開始し、係争海域に滑走路や軍事施設を建設してきた。中国は耳を貸さずに「既成事実」の積み重ねにより、この海域で領有を加速させてきたのが現実である。

 国際的な仲裁・裁判による領有権問題についての解決の難しさを示す典型的な例が東南アジアにもう一つある。タイとカンボジア国境にあるクメール遺跡・プレアビヒア(タイ名、カオ・プラビーハン)寺院だ。バンコクから東約500キロ。9世紀の創建でアンコール・ワットより古い歴史を刻む。
 この寺院は、本殿がカンボジア領内にある。しかし、高地にある関係でカンボジア側からよりもタイ側から参拝する方が便利で、寺院をタイ領と思う人が多い。ゆえに寺院の領有をめぐって、両国は争ってきた。第二次大戦中、タイが占拠し、1958年には、両国間の外交関係断絶までに至った。
 カンボジアが国際司法裁判所に提訴し、1962年に領有が認められる裁定が下った。
しかし、両国軍の衝突などこの寺院を巡るにらみ合いは21世紀になっても続いているのが実情だ。それぞれの国民感情がからみ領有・領土問題ほど解決が難しい外交問題はない、ということだ。

 南シナ海でも仲裁裁判所の判断が示されても、それがすぐに解決に結びつかないだろう。しかし、仲裁手続きは、中国が署名し批准した国連海洋法条約の下で行うものである。中国が仲裁の判断を配慮・尊重しなければ、国際法を軽視し、「小国いじめをしている大国の横暴」と国際社会は見る。 












                                         







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