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 ASEM             (2016年7月26日)




第11回 アジア欧州会議
(7月15、16日 モンゴル/ウランバートル)
 モンゴルの首都ウランバートルで、7月中旬、アジア欧州会議(ASEM)の首脳会議が開かれた。南シナ海問題で仲裁裁判所の判決が出た直後で、議長声明でこれをどう取り扱うかが注目された。
 結局、中国との対立が深まるのを避けるため、声明では「南シナ海」の記載は見送られ、「国連海洋法条約に従った紛争解決」という表現が盛り込まれた。
 中国は「判決を受け入れない」との姿勢を崩さなかった。

 このASEMについては、一般にあまり知られていないが、アジアと欧州の「力関係」を知る上で貴重な会議だ、と思う。国際政治・外交の主役である米国抜きで、その会議の結果が、世界に発信される。   1994年にシンガポールのゴー・チョク・トン首相(当時)が、欧州・アジアの両地域間の対話を強化する必要がある、と提案したのが始まり。その共通認識から1996年に第1回の会議が開かれ、アジア側からは東南アジア諸国連合(ASEAN)
加盟国と日本、中国、韓国が参加。欧州側からはEU加盟国と欧州委員会委員長が参加した。
 首脳会議は、2年に1度、アジアと欧州で交互に開催される。当時は、アジアの経済成長もあって「旧植民地と旧宗主国が対等の立場になった」と指摘された。
 2004年から、ASEANの新加盟国であるカンボジア、ミャンマー、ラオスが参加するようになった。このころからASEMの色彩が変わってきたように思える。
 当時、ASEANの結束において最大問題は、ミャンマーの軍事政権への対応だった。ASEANは、「関係国の内部事情には、立ち入らず、内政不干渉の原則を維持」を旗印にしており、ミャンマーの軍事政権の人権弾圧問題にはなかなか踏み込めなかった。
 欧州は、人権・自由などに関する重要問題の先送り、解決回避と受け取り、そうしたあいまいな「アジア的融合」を批判してきた。いわばASEMは「欧州が人権問題などに後進的なASEANを諭す場」の意味合いもあった。
 
 その状況が一転した。ミャンマーは、民主化の方向に進み、弾圧の対象だったスーチー氏らが政権を切り回す。フィリピンが海の法秩序の確立をはかる国連海洋法条約を根拠に、中国の拡張行為に待ったをかけ、仲裁裁判所に提訴、その主張が認められたのだ。
 海洋の航行の自由・法律の順守について、欧州側は、中国との経済関係をうかがいながら態度を決めなければならなくなった。今回のASEM首脳会議の声明は、その苦渋の末に「南シナ海」を削り「国連海洋法条約に従った紛争解決」という表現になったのだろう。 













                                         







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