本文へスキップ

アジア・ウオッチ・ネットワークはアジアに幅広取材アンテナを張ります。

アジア・ウオッチ・ネットワークAsiaWatchNetwork


メニュー亜細亜 飛耳長目

 暮らしやすさ、総合力でタイが金メダル (2016年8月25日)



シンガポールのビール(タイガービール)
 夏休みにシンガポールに行ってきた。一人当たりの国内総生産(GDP)が5万ドルを超え、先進主要国の豊かな国と並ぶ。「IT(情報技術)先進国」と呼ばれ、国際競争力も世界屈指だ。機能的な空港、整備された道路網、清潔な街並みと高層ビル…。訪れるたびに「モノ、ヒト、情報がよどみなく流れる国際都市」の印象を受ける。
 しかし、その空間にしばらくいると、息が詰まりそうになる。路上の屋台群や物売りといった「アジアの景色」があまり見られないのだ。規則・規制も厳しい。物価も高い。大衆的な食堂でビールを飲むと小瓶で500円〜800円という高さ。アルコール好きでも「もう1本」の注文を控えなければならない。
 ある在留邦人は、この国を「アジアで最も便利ですみやすく、そして退屈な町」と言っていた。
 飛行機でバンコクへ飛ぶ。シンガポールが「情報都市」ならばバンコクは「情緒都市」だ。ここに来るとほっとするのはわたしばかりではないだろう。1997年のアジア通貨危機は、タイから始まったが、タイに見切りをつけて撤退する日本系企業は、それほど多くなかった。むしろ経営の効率化からタイを東南アジアの拠点として位置づけ、バンコクの支店・支社や工場を強化・拡充する企業が目立った。在留邦人数も東南アジアではトップである。

 熱戦を繰り広げたリオ五輪になぞらえて、そのタイの魅力度について考えてみた。国の「体力」示す一指標である人口では、インドネシア、フイリピンやベトナムには及ばないものの7000万人近い。これは、市場としてはまずまずの規模だ。治安、教育、医療もシンガポールなど近隣諸国と比べ、トップではないが、生活に支障はない。物価は高くはなく、安くもない。
 そう、いろんな分野で「そこそこ」の水準なのだ。ここに「情緒」と「人情味」が加わるのが強みだ。私見だが、タイの評価は、体操競技に例えれば、リオ五輪で日本男子が獲得した「個人・団体総合」で金メダル、ということになる。床運動、跳馬など個々の種目では、金メダルを獲れる実力に達していないが、各種目の成績を集計すると、どれも「そこそこ」で、いつのまにかトップに立っている、という具合だ。

 しかし、「総合一位」も油断したらその座も危うくなる。心配なのが、重要指標の「政治的安定度」についてである。対立が先鋭化し、解決策が見つからず、そのあげくに国際空港の占拠など市民の暴徒化といった事態が起きれば…。
 それは、鉄棒、吊り輪などでの致命的ともいえる落下を意味する。なかなか取り返しがつかない。












                                         







English version (英語版)



Photo


ビデオ











Asia Watch Network

Bangkok, Thailand