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ドゥテルテ大統領(フィリピン)     (2016年9月20日)



第16代 フィリピン共和国 
ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte) 大統領
 フィリピンのドゥテルテ大統領の奔放な言動が続いている。最近では、アキノ前政権が米国と合意したばかりの南シナ海での定期的な合同哨戒活動に参加しない方針を明らかにした。
 また、ミンダナオ島に駐留する米軍特殊部隊の退去を要求するなど反米感情の露出に米国や日本は戸惑いをみせている。そうした過激な発言から「フィリピンのトランプ氏」と称されてもいる。

 国内的に見てもドゥテルテ政権の超法規的な振る舞いが気がかりである。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や報道によると、警察や自警団が麻薬犯罪の容疑者を殺害する事例が急増し、これまでに1,500人以上の犯罪容疑者が殺害された。 ドゥテルテ氏は、こうした麻薬取り締まりに対する批判にも「たった1,000人しか殺していない」と言い放ったという。

 この強硬姿勢は、国民の根強い支持が支えになっている。ダバオ市長時代に治安改善を実現した実績に加え、大統領当選後の6月は、犯罪件数が前月比13%減の4万6,600件に減少したといい、その剛腕な取り組みが一定の評価を受けている。 
 既存のエリート政治家には見られない奔放さが、貧富・階級の格差に閉塞感を抱いている庶民の心をとらえているのだ。
 なぜ、このドゥテルテ氏のような政治家が輩出され、人気を集めるのか。フィリピンは、旧宗主国の米国の影響を受け、民主主義の実現・定着を求める声は根強い。
 かつては独裁的なマルコス政権に対する批判が高まり、1986年には同政権が崩壊、その後も政治腐敗が追及される場面が多く見られた。
 しかし、民主化のプロセスの一方で、膨大な土地を支配する地主ら富裕層と庶民との間の大きな経済格差など社会構造の矛盾は温存された感がある。「富裕層から出てきた政治家が、中央・地方で、そうした社会構造を補強 している」との指摘があってもおかしくなかった。

 歴史的に見て東南アジアは、インド、中国の影響を受け、土着の文化に仏教、イスラム教、儒教が混合した重層文化の社会を構築してきた。しかし、フィリピンは、インド、中国の2大文明のセンターから地理的に遠かった。センターに近いほどその地域は、文明のエキスをとりこみ、国の「骨格」をつくっていく。東南アジアで、それが遅れたのが、文明センターから離れていたフィリピンだった。「骨格」がしっかりしないうちにスペイン、米国といった欧米勢の支配に翻弄され、不安定さが残るいびつな格差社会が出来上がってしまった。それがいまも温存され、不満な庶民は、ドゥテルテ氏の過激発言に拍手喝采する。












                                         







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