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未来への投資             (2017年2月15日)



今泉 清詞 氏(93歳)
 太平洋戦争が終わりに近づくころ、日本軍はインパール作戦を敢行した。ビルマ(現ミャンマー)を突き抜けてインド北東部のインパール攻略を目指した作戦である。 1944年3月から7月初旬にかけて続いたが、補給線を視野に入れない作戦により、多くの犠牲を出した。「日本軍の失敗の象徴」、「無謀な作戦」と語り継がれている。日本軍の敗残兵は陸路タイを目指したが、多くが飢えと病気で命を落とした。現地ではいまも「白骨街道」と呼ばれている。

 無謀なこの作戦から70年以上が経つが、今月、「今泉記念ビルマ奨学会」(埼玉県鶴ヶ島市)と今泉清詞会長(93歳)が埼玉県の「埼玉グローバル賞」の『「未来への投資」分野』に選ばれ、表彰式が行われた。この賞は、世界を意識した活動や地域の国際化に向けた活動を行う埼玉県にゆかりのある個人または団体が対象だ。
 受賞した今泉さんは、あのインパール作戦で、苦難を経て生還した一人である。

 戦後、日本に戻った今泉さんは「生きて帰れたのは食べものなどを分け与えて助けてくれたビルマの人たちのおかげ」と感謝し、ミャンマーの若者たちを支援
してきた。
 私費を投じて留学生に奨学金を支給。19年間で一人当たり年額数十万円の奨学金を178人に支給してきた。支援を受けた留学生のうち26人が博士号を取得し、母国や世界各地で活躍し、現在も母国で図書館建設、寺子屋での英語教育支援などの活動を続けているという。まさに「未来への投資」、それが実った。
 今泉会長は表彰式で「受けたご恩の万分の一のささやかなご恩返しの活動が大きく評価され、大変恐縮している。今後も日本とミャンマーとの友好親善に一層努力して、この栄誉に報いたいと思う」と語った。

 今泉さんの自宅近くの城西大学には、「ミャンマー交流・人材育成奨励制度」がある。昨年7月「今泉記念ビルマ奨学会」から寄付を受けて制度を立ち上げ、ミャンマーからの留学生に奨学金を授与するという。中国、韓国」などの近隣諸国から日本の歴史認識を問う声をしばしば聞く。
 日本に好意的な東南アジア諸国でもかつての日本軍の侵攻を完全に忘れたわけではない。人々の「古層」には、警戒心が潜んでいるかもしれない。今泉さんが続けてきた「未来への投資」は、大きな歴史の中では、ささやかな「一滴」だろう。だが、その「一滴」が大河になることもある。












                                         








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