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イスラム・ゲート             (2017年2月27日)



事件を報じる現地紙
 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が、マレーシアの首都クアラルンプールの空港で毒物により殺害された。実行犯とみられるのは、インドネシア人とベトナム人の女性だが、背後に北朝鮮大使館や工作員が関わっている可能性が高い。
 マレーシア政府は、当然、事件究明に必死だが、北朝鮮側はその捜査協力の要請に対して、頑な姿勢で、互いに反発。両国の外交関係は危機状態にある。

 これまでマレーシアと北朝鮮の関係は良好で、2014年まではクアラルンプールと平壌を結ぶ直行便もあった。北朝鮮にとっては、ビザ(査証)なしで入国できる数少ない国で、国際社会から孤立気味の北朝鮮が外の世界と交わるチャンスを提供している。
 両国の貿易関係でも北朝鮮はマレーシアからゴムやパーム油その他の資源を輸入、マレーシアは鉄や鉄鋼製品を輸入しているという。
 報道によると、正男氏は高級ホテルに宿泊しながらマレーシアやシンガポールでITビジネスに関与していたという。
 また、代理人を通じマレーシアで投資していた、と報じたメディアもあった。
 
 北朝鮮がマレーシアを重視してきたのは、こうした「ビジネスの場」としての理由だけではない。
 マレーシアは、人口の多くをマレー系のイスラム教徒が占める。イスラム協力機構の加盟国でもある。「もっとも知的で工業化が進んでいるイスラム教国の一つ」ともいわれる。
 この評判を背にしながらマレーシアは、中東諸国との結びつきを強めながら中東マネーの呼び込みに熱心で、イスラムの教義に基づいた「イスラム金融」のセンターを目指している。

 クアラルンプールには、中東諸国がらみのヒト、モノ、カネ、情報が動く。中東諸国やイスラム圏に確固たる足場を作りたかった北朝鮮にとっては、マレーシアは、「イスラム・ゲート」の存在なのだ。
 北朝鮮は、イランとの間でミサイルや核開発の協力関係を取りざたされた。また、パキスタンとのあいだでも核開発とミサイル開発の両面において広範な協力・支援体制があった、と指摘されている。

 両国ともイスラム教国であるクアラルンプールの町を歩くと「ニカブ」の女性が目につく。目の部分以外はすっぽりと全体を隠すベール。女性らは中東諸国からの観光客だろう。
 「イスラム・コネクション」を築けるマレーシア。今回の事件の背後に北朝鮮関係者がいるとすれば、なぜ貴重な友好国のマレーシアを逆なでするような蛮行にいたったのか。












                                         








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