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国際河川・メコン川        (2017年7月9日)



ラオスの首都ビエンチャンから撮影したメコン川
中国のダム建設の影響か水量が激減している
  香メコン川関連の開発行為について、上流域の中国と中流・下流域に位置する
タイなどとの間で不協和音が再び生じている。報道などによると、問題になっているのは、中国南部の雲南省からラオスの古都ルアンプラバンの間でメコン川を拡張、水路を整備して大型船舶の航行を可能にさせる、というプロジェクトだ。
 タイ政府は、初期段階の開発計画を承認し、中国側は、今春、環境影響調査をスタートさせた。しかし、岩が立ちはだかっている場所もあり、水路整備には、爆破工事が伴うことが予想される。爆破については、関係国の追加承認が必要となるが、生態系の破壊が懸念されるのだ。 
 東南アジアを貫くメコン川。中国のチベット高原に源を発し、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムを経て南シナ海に注ぐ。全長約4,500キロにおよぶ国際河川である。
 しかし、その開発をめぐってこれまでもトラブルが絶えなかった。多くの原因は、中国の開発行為だ。中国は雲南省などの経済振興のため、東南アジアの流域国との交易拡大を狙い、これまでも航路・港整備を行ってきた。
 2000年に、中国、ラオス、ミャンマー、タイの4カ国が「商業航行協定」を締結した。これにより、水路の建設と整備が進み、メコン川を通じた物資運搬量は100倍にも増加――というデータもある。まさにメコン川は、かつての「戦火の川」・「未開発の川」から「黄金の大動脈」になった。

 しかし、その一方で、浚渫(しゅんせつ)工事でメコン川に生息する生物の生態系が崩れ、貴重な巨大魚などが激減した。また、ダム建設も相次いだ。下流域のタイ、カンボジア、ベトナムは、水位が下がることで、農作物にも多大な被害が出ることを懸念している。
 水環境変化による生態系への悪影響。今回の拡張工事は、それに拍車をかける恐れがある。メコン川は流域住民に、飲料水、食料となる魚、田畑に実りをもたらす肥沃な土壌を提供してきた。
 乱開発は、その生活の源の破壊につながる。これまでの経緯を見ても中国は、メコン川を「国際河川」というより「国内河川」と位置付けているような印象を受ける。中国では、メコン川は「浪滄江」と呼ばれているのだ。

 この流域には約6,000万人の住民が住む。関係各国の開発・環境保護をめぐる思惑はさまざまで錯綜している。複数の国を貫く大河の共同管理の歴史が長い欧州などと違い、メコン川の管理・協力は遅れている。「メコン川は、そこに流れる国の所有物ではなく、多くの国、そして地球を潤す国際河川」という意識が必要だ。












                                         









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