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ラマダンの前に           (2018年5月27日)




インドネシアの国章「ガルーダ・パンチャシラ」
 イスラム圏の多くの国で、断食月「ラマダン」に入ったが、その直前に、世界最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアで、自爆テロや爆発が連続して起きた。
 関与したのはいずれも子供連れの家族で、国家警察は過激派組織「イスラム国」(IS)に共鳴する国内組織のメンバーによるテロとみている。ISは、組織的には壊滅されたとみられているが、インドネシアなどではその影響力がしぶとく残っている現実が浮き彫りにされた。

 国家警察によると、5月13日朝、三つのキリスト教会が自爆テロで狙われるなどで実行者の家族のほか多くの市民が死亡した。容疑者は、ISに忠誠を誓うイスラム過激派組織「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)のメンバーで、当局が指導者らを収監したことへの報復が動機だったとみられる。
 JADは2015年にジャワ島東部で設立されたとされ、ISにつながるとみられる過激派組織としてはインドネシアで最大規模といわれている。これまでも自爆テロは発生したが、家族連れによるテロがインドネシアで起きたのは初めてで、衝撃は大きい。インドネシアなど東南アジアのイスラム教徒は「穏健派」が多い、という従来の認識を覆しかねないからだ。
  東南アジアへのイスラム教伝播の歴史は古い。アラブからインドを経て信仰体系として伝わるのは、9〜10世紀ごろと言われている。沿岸の都市や島しょ部で宗教として定着するのは、13世紀以降である。 東南アジアには、すでに独特の精霊信仰、固有文化が根付いており、イスラム教もそうした地域文化と融合の上、人々に受容されてきた、といえる。イスラム教の持つ排他的な面は徐々に影をひそめていく。

 こうした歴史からインドネシアやマレーシアでは「アガマ(宗教)は海からやって来て、アダット(民族固有の習慣・伝統)は山から来る」と言い伝えられてきた。海の向こうから来た宗教(イスラム、ヒンドゥー)を巧みに取り入れ、伝統に溶け込ましてきた知恵をそこに見る。
 インドネシアの建国の父、スカルノ初代大統領の父は、ジャワのイスラム教徒、母はバリ島のヒンドゥー教徒だったという。さまざまな宗教・文化・民族を抱えながら国としてまとまりを目指すインドネシアの多様性と寛容さが感じられた。
 インドネシアの象徴である「ガルーダ」は、伝説の鳥である。それが描かれている国章には「ビネカ・トゥンガル・イカ(多様性の中の統一)」と書かれている。
 インドネシアはイスラム教徒が人口約2億5,000万のうち約8割を占める。政治に宗教を持ち込まない「世俗主義」を国是としている。そこには、「多様性の中の統一」の精神が貫かれているのだ。












                                         









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