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洞窟救助の裡面              (2018年7月29日)



              (いずれもタイ海軍撮影)
 タイ北部チェンライ県の洞窟に閉じ込められていた少年12人とコーチが救出された。洞窟は全長10キロ以上ある鍾乳洞で、少年らは、サッカーの練習後に洞窟へ入り、豪雨による増水で外に出られなくなった。
 国際的な捜索態勢がとられ、洞窟入り口から約5キロ入った場所で見つかり、ダイバーの誘導で順次脱出した。

 17日間におよぶ救出作戦。タイ海軍特殊部隊や日本や英国などの多国籍のチームが協力した。
 少年らは、救出作業中に亡くなったダイバーの元タイ海軍特殊部隊員に向け「安らかにお眠りください。心の底から感謝します」との言葉も忘れなかった。
 その後、少年らは地元の寺に出家し、9日間の修行生活に入ったという。

 チェンライは、ミャンマー、ラオスと国境を接し、タイ最北部に位置する。鍾乳洞の洞窟といえば、隣のナーン県で「プラーデーン(赤い崖)」と呼ばれる洞窟について取材したことがある。
  1,500メートル級の山々に連なる秘境にその洞窟がある。地元関係者によると、ベトナム戦争(1975年終結)当時、共産党員や学生らは、共産主義浸透を警戒する政権に弾圧され、タイ北部の高地に立てこもりながら武装闘争を展開した。ベトナムは南北が「共産統一」され、タイの隣国のラオスは、無血革命により社会主義国となり、王政が廃止された。
 タイ政府は、その「風」を恐れ、学生らの過激な活動を取り締まったのだった。学生や共産党員らがゲリラ活動の拠点に選んだのがタイ北部の洞窟だった。取材したナーン県の洞窟は、その後のタイ軍の調査で「野戦病院」の跡などが確認された。
 少年らが閉じ込められた洞窟にも、そんな「歴史の秘話」が隠されているかもしれない。

 今回の救出劇には、興味深い後日談もあった。救出された13人について、「少年3人とコーチの計4人が無国籍者だった」というのだ。国境地帯の山岳少数民族や、ミャンマーなどから来る労働者とその家族らの中には取得要件を満たせず、国籍のない人もいる。 無国籍者はタイ政府が把握しているだけでも約68万人いる。タイ、ミャンマー、ラオスが接するこの地域には約12万人に達する、とも。
 そもそも、密林の中に「国境線」が引かれているわけではない。象使いなど自由に密林を動き回る少数民族らにとって「国境」は、勝手に敷かれた、迷惑なものだろう。
 少年 13人が所属するサッカーチームは、メンバー84人中20人が無国籍者、という報道もあった。救出劇は、東南アジアの無国籍者問題を改めて浮き彫りにさせた。













                                         









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