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孤独のグルメ            (2018年9月15日)




 1990年から5年間、新聞社のソウル特派員として韓国に住んだ。日本から見て「近くて遠い国」と言われる韓国。人々も顔つき、風体はさほど日本人と変わらないが、歴史認識をはじめ習慣、風俗などの違いに感じたことはしばしばだった。
 特に「飲食」についての風習は違いが際立っていたように思う。

 その具体例である。韓国では「お膳が壊れるほどの料理(ごちそう)を客に出す」という「習わし」がある。焼き肉屋に入ってもカルビなどのメイン料理以外にも小鉢、小皿に入ったいろいろなキムチ、野菜、スープなどが添えられる。これはお代わり自由で、無料。なくなったら店の人に頼めばよい。「お膳が壊れるほど」という表現も大げさ、とは言えない。
 外食だけではない。韓国人の家庭に食事に招かれた際もそうだ。料理がお膳を埋め尽くす。招かれた日本人は、「食べ残すとせっかく料理を出してくれた方に申し訳ない。残すともったいない」という「習性」が働き、きれいに食べてしまう。
 しかし、韓国人の多くは、これを見て好意的に受け取らない。
 韓国では、出された料理を残らず食べると「物足りなかった」という意味に受け取られる。また、韓国では、食堂のレジ前で、日本人グループがよくやる「割り勘」の光景は、めったに見られない。「年長者・上司が払う」、「男が払う」などが原則だ。

 こうした韓国の「食のルール」に長く接してきたが、最近、それを覆すようなニュースが流れた。世界のテレビドラマの中から優れた作品を選ぶ韓国のコンクールで、日本のテレビドラマ「孤独のグルメ」に、人気がある海外ドラマとして招待作品部門の賞が贈られたのだ。
 このドラマは、中年男性が訪れた町々で独り、食事を楽しむ姿を、ストーリーに仕立てた作品だ。主演俳優は、の松重豊さんで、授賞式にも参加した。

 韓国からの訪日者が増加し、日本の食文化に高い関心があったことは知っていたが、「おじさんがご飯を食べているだけの番組」(松重さん)が評価されるとは…。というのも「韓国人は一人で食事はしない」が定説だったからだ。「お膳が壊れる」「割り勘」のエピソードも「人が集まり食事する」が前提である。焼き肉屋では、「2人前以上」が普通で「1人前」の注文は受け付けない。
 ソウルの軽食の食堂で、ビジネスマン・ウーマンが一人で「孤独のグルメ」を味わっている場面は、当時はほとんど見られなかった。
 しかし、1人世帯の増加などの影響で5年ほど前から孤食がブームになっているという。「みんなで談笑しながらの飲食」よりも「食に集中してじっくり味わう」のを好む韓国人が増えたこともある。












                                         









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